『チャーリーと14人のキッズ』75点(100点満点中)

フェミニズム先進国が描く、家庭の大切さ

エディ・マーフィ主演のホーム・コメディ。リストラされたエディが保育園を開園して、個性豊かな子供たちに翻弄されるお話である。家族向けに作られた心温まるコメディドラマで、エディ・マーフィはお得意のマシンガン・トークを封印し、真面目にドラマを演じている。日本語吹き替え版も同時に公開されるので、子供連れの皆さんも安心だ。

『チャーリーと14人のキッズ』には、一般的な家族連れの観客がコメディに求めるすべてがそろっているといって良い。健全で毒のない笑い、分かりやすい演出とストーリーとテーマ、そしてラストに気持ち良く流せる感動の涙、である。当然米国では大ヒット。すでにパート2の製作も決定している。

こうしたアメリカ映画を見ていつも思うことは、子役たちがとても溌剌として素晴らしい演技をしているということである。なんでもあちらでは、撮影の合間には、子役たちのために遊ぶ時間を設けてリラックスさせるそうだ。14人のキッズの中には、『アイアムサム』や今週公開の『コール』に出演している、現在ハリウッド最強の美少女子役ダコタ・ファニングの妹が出演しているので、ファンの方は探してみよう。まあ、一人だけ図抜けた美少女がいるので、すぐ分かるだろう。

さて、私が『チャーリーと14人のキッズ』で面白いなと思ったのは、この映画が「子育ては家でするのが理想なのだ」というテーマを根底にかかえた作品であり、それがアメリカで大ヒットしたという事実である。

「女では解決できなかった問題(社会性の欠如)を男性が解決した」という部分も重要で、いまだに「男女は子育てにおいて平等」などと主張している一部の日本のフェミニストたちにとっては、苦々しい内容であろう。だが、「子育て上の男女の明確な役割分担」と「家庭での子育ての重要さ」を描いた映画が、フェミニズム先進国の米国で大きな支持を受けているというのは、見過ごせないだろう。

笑えて泣ける、ベーシックなコメディとして、『チャーリーと14人のキッズ』はとにかくオススメである。お正月映画としての風格もあるし、新年最初の一本として、見れば幸せになれる本作を家族で鑑賞するというのはいかがだろう。



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