『死ぬまでにしたい10のこと』50点(100点満点中)

少々都合がいいな、と感じる部分がある

スペイン・カナダ合作の、静かな雰囲気のドラマ。幸せな専業主婦が、余命わずかと診断され、夫にも内緒にして「死ぬまでにしたい事リスト」を作るというストーリー。30〜40代くらいの女性、とくに主婦に向けたお話といっていいだろう。

主人公の主婦は、夫婦仲もいいし、理想的なしあわせ家族だと言うのに、「死ぬまでにしたい事リスト」のなかには、「夫以外の男性とセックスする」などという項目が入っている。ここいらあたりが、冒険欲求を隠し持つ、世のマジメな主婦層の心理をうまくついた設定というわけである。

製作総指揮が『トーク・トゥ・ハー』の監督、ペドロ・アルモドバルという点も、そのへんの客層を引き付ける要素になろう。何しろ今は女性たちの間で、スペイン映画がちょっとしたブームであり、ペドロ氏は、その中でもビッグネームなのだから。このストーリーとスタッフ、キャストを、上手く女性誌が紹介するだけで、そこそこヒットが望めそうな映画である。

で、肝心の内容だが、途中には、共感できるシーンがいくつか散見できるものの、ちょっと思い付くだけでも突っ込み所がいくつかみられる。少々御都合主義が目に付き、シナリオに不自然さを感じるといった印象である。

せめて結末が良ければいいのだが、ちょいと収拾がついておらず、強引な感じ。全体的に、満足度はイマイチかな、という気がする。

感動ドラマというわけでもなければ、世の女性達の心を射抜くような鋭い描写も無く、新鮮な問題提起をしているわけでもない。ようするに、平凡なのである。



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