『トーク・トゥー・ハー』75点(100点満点中)
他者と上手に付き合えない不器用な男の恋と友情を、せつなく描く物語
ペドロ・アルモドバル監督の人間ドラマ。アカデミー脚本賞を受賞したスペイン映画である。
脚本賞を取っただけあって、ストーリーが抜群である。常に先が気になるので、時間がすぐに過ぎる。このテンポのよさには、監督のセンスを感じる。ラストのオチが少々弱いかな、とは感じるが、途中はとても面白い。
人間描写がしっかりしているので、キャラクターに感情移入しやすく、観客を引きこんでくれる。特に、主人公の看護士の性格設定がリアルでいい。ああいうオタク青年は、いかにも現実にいそうだと観客は感じるだろう。
その主人公と似た境遇の男が出てきて、彼らに友情が芽生えるのだが、物語は途中から、ややショッキングな展開を見せる。あまり詳しい事はあえて書かないが、この映画は、監督の、弱者に対する優しい視点が感じられる話なので、そういうのが好きな方に向いているといえる。
4年間昏睡を続けているという、ビックリな設定の美女を演じるレオノール・ワトリングの、入院患者とはどうみても思えない健康的なヌードと、主人公による美乳もみもみシーンがしょっちゅう出てくるので、男性諸氏はなおの事、退屈せずに画面に集中出来るであろう。
『トーク・トゥ・ハー』は、今週公開の映画の中では、私前田のおすすめの1つである。映画のストーリー紹介をどこかで読んで、その衝撃的な設定に興味を持った方であれば、きっとその期待を裏切られる事はないだろう。安心してご覧になって欲しいと思う。