『DUEL 2LDK/荒神』60点(100点満点中)
『2LDK』の面白さが収穫
『あずみ』の北村監督と、『恋愛寫眞』の堤監督による、短編映画のコラボレート企画。60分という時間制限のなかで、堤監督が「女同士の対決」、北村監督が「男同士の対決」をテーマにした作品を作り、2本立てにして公開するというものである。
邦画界の誇る、個性的な二つの才能が、同じテーマで競い合う。なかなか面白い企画である。『2LDK』『荒神』というタイトルのそれぞれの作品は、なるほど各監督の個性がしっかりと濃縮された、(同じテーマにもかかわらず)対称的な映画になっている。
『荒神』は、北村監督らしい、荒唐無稽な雰囲気の、男くさい時代劇アクション。ギャグセンスの寒さも相変わらずだが、ワイヤーワークを駆使した動きで、若若しいセンスのチャンバラを見せる。
しかし、アクションで知られる彼の作品にしては、殺陣はスピード感に欠け、少々不満が残る出来(決して悪くは無いのだが)。だが、これよりは製作費にも余裕があったであろう、前作『あずみ』のアクションシーンの出来の悪さを考えると、これが、北村監督の限界なのかな、という気もしてくる。ただ、暗闇でのラストバトルのアイデアは、なかなかである。
『2LDK』は、一見仲良しの女友達が、心の中では互いをバカにしきっているという本音を描く現代劇。『荒神』とは対称的に笑いのセンスが良いが、このへんはテレビの仕事を長くやっている堤監督の得意とするところだろう。
アクションシーンは、北村監督の作品の方が高度な事をやっているというのに、こちらの方が見ていて面白い。ホラーじみたシーンもあるなど、次々に新たなネタを提供する勢いの良さと、主演女優二人のパワーで勝っている。
また、『荒神』がストーリーのオチが読める展開なのに対し、こちらは最後まで結末が読みきれず、落とし所をどこにもって行くのかの興味が最後までつきない点が良い。
タイプの違う2作品を楽しめるという事で、とても興味深い企画であったが、監督としての力量の差が、今回ははっきり出すぎていて、少々痛々しい。公式サイトの投票の結果が、私は今から心配でしかたがない。