『山猫は眠らない2 狙撃手の掟』40点(100点満点中)
狙撃手をリアルに描く、マニアックな映画
スナイパー、狙撃手について、ディテールにだわり、かつて無いほどリアルに描いた事で、軍事マニアなどの根強いファンがついている前作から11年。ファン待望の続編がついに公開される。
一部に熱狂的なファンを生んだ作品の続編という事で、知ってる人には期待の大きな作品である。主演は、もちろん前作同様トム・ベレンジャー。今回の新たなるミッションは、バルカン半島を舞台に繰り広げられる。
着弾と音のズレまで表現するという、映画離れしたリアルさがこのシリーズの特長だ。そして、スナイパーと言うのは もともと派手とは無縁の職業(?)だから、本作はとても地味なアクション映画である。もちろん、この映画に来るお客さんも、そうした点を期待しているわけで、本作はその辺に良くあるお気楽アクションとは、明らかに一線を画した映画といえる。
主人公である伝説の狙撃手、トーマス・ベケットは、今回は決して充分とは言えないサポートのもと、ミッションを実行する苦難に見舞われる。
純粋にカッコイイし、渋くて惚れ惚れするのだが、展開としてはいたって平凡。ストーリーが盛りあがらず、スナイパーのオジサンの様子を描いた、というだけに終わっている。主演の役者の存在感だけで、なんとか持っている、といった印象である。
マニアの期待する銃器類も、今回のミッションはろくな補給もサポートもないという設定なので、わずかな種類しか登場しない。ただし、少ない種類ながらもでてくる銃器類は、良くあるAK突撃銃でも中国製っぽさのないモデルを使用するなど、こだわりぬいたセレクションではある。同じ週公開の『バリスティック』が、とにかく多種類の銃を次々と登場させるのとは、対称的なこだわり方といえる。
まあ、たまにはこういう映画があってもいいが、せっかくの続編なのだから、もうちょい盛り上げて欲しかったという気はする。