『バリスティック』35点(100点満点中)
アクションのための3流ストーリー
アントニオ・バンデラスとルーシー・リューが競演する、派手なガンアクション映画。この二人の競演が、最大の売り所という映画である。
しかしこれ、ストーリーに穴がありすぎる。所詮「アクションを見せるためのお定まりストーリー」とはいえ、あまりに理不尽で納得のいかない設定が多すぎる。
いっそこの映画を観るときは、「なんだよあのバカな設定!」などと、友人同士で突っ込んで楽しんで見るとよい。『バリスティック』は、そういう楽しみ方もできる映画である。こういう事を言うと「映画ファン」の方に怒られそうだが、娯楽のひとつに過ぎない映画をどう楽しもうと、それは料金を払ったお客さんの自由である。また、アメリカではこうした娯楽アクション映画(やホラー映画)を、そのように楽しむのは一般的である。
なお『バリスティック』は、登場する銃の種類が多いので、マニアの方をはっとさせる。ただ、主人公のバンデラスの銃さばきがどうもイマイチ。何にしてもこの人は、顔が濃過ぎてこういうシーンには似合わない。そこをルーシー・リューのシンプルな顔で中和したのは、映画全体のバランスとしては良いのかもしれない。
この二人は、この映画のアクションシーンで骨折するほど体を張ったチャレンジをしたらしい。ルーシー・リューは8ヶ月間も、この映画のアクションのためにトレーニングを積んだという。しかし、彼らが体を張ったそのアクションも、全体的に真新しさに欠けるというのはあまりにも残念だ。