『10日間で男を上手にフル方法』40点(100点満点中)
肝心の『男をフル方法』にもっとリアルさがあれば
名コメディエンヌのゴールディー・ホーン(最近では『バンガー・シスターズ』に出演)の娘、ケイト・ハドソンが主演のロマンティック・コメディ。
次々と公開されるロマコメの中で、『10日間で男を上手にフル方法』のウリは、その名の通り、付きまとう男を追っ払うためのマニュアルであるという点である。常に、マンネリの危機と隣り合わせのロマコメジャンルの新作としては、目の付け所がなかなかいい。
しかし、肝心の『男をフルためのマニュアル』部分が、アイデア不足でいただけない。このページは、『これから見る人のための新作ガイド』だから、具体的に挙げられないのがつらい所だが、数々のマニュアルのうち、劇中で1番引っ張るネタが、1番面白くないというのは問題だ。
この手の裏ハウツーで笑わせるためには、全ての男が「うわ、確かにこれをやられたら嫌だよなぁ」と感じ、かつ「うわ、確かにたまにいるんだよ、こういう女!」と、納得させる事が大切である。
そういうネタをもっと考えて、厳選して、その上で『10日間で男を上手にフル方法』を作り上げたなら、もっと爆笑を呼んだに違いないのだが。
プロットにも少々問題があるように感じる。本作は、男も女もお互いを騙しているというストーリーなのだが、これが結末の快感をスポイルしていると感じるのである。お客は、こうしたロマコメには笑いと涙とほんわか気分を期待して来ているのだから、物語に余計なひねりを加えるのはリスキーだ。ストレートな感動物語で、問題は無いはずだと、私は思う。
『10日間で男を上手にフル方法』は、ケイト・ハドソンが全速力で走り出し、どんどん途中で乗客を振り落とし、最後にはほとんど誰も残っていない、といった映画である。序盤のギャグで大笑いし、勢いで最後まで楽しんでしまえれば1番良いのだが、徐々にアホらしくなる中盤以降、立ち止まって冷めてしまったらそこで終わりだ。
だから、この映画を見に行く際は、その点を注意して、決して立ち止まらずに楽しんでくることが大事だと、アドバイスしておきたい。