『LOVERS/ラヴァーズ』40点(100点満点中)

チャン・ツィイーの舞は美しいが

2002年の大ヒット映画『HERO』の監督による最新作。衣装やアクション監督等のスタッフも共通で作られた武侠アクション映画だ。

9世紀中頃の中国。唐王朝の衰退期、政府は反乱集団”飛刀門”のリーダーと目される踊り子(チャン・ツィイー)を捕らえるべく、リウ(アンディ・ラウ)とジン(金城武)を派遣する。

『HERO』でおなじみとなった、原色使いの画面作りは健在。フワフワ浮かぶワイヤーアクションと、けれん味たっぷりに使われるCGも満載だ。

前半最大の見せ場である、チャン・ツィ・イーが太鼓の周りで踊るシーンが美しい。長身に小顔の彼女は抜群のプロポーションで知られるが、このシーンでは長年鍛えた柔軟性の高い身体能力をいかんなく発揮して、ため息の出るような見事な舞を披露してくれる。

とはいえ、平均以上の見せ場はこれひとつ。このあとはアクション映画としては完全に失速。これだけのビッグネームをそろえた割には、どうにも平凡な印象の作品となってしまった。ストーリーがちょいと陳腐で、多少の意外性はあるものの、よくあるメロドラマにとどまってしまったのが痛いところ。類似作品の『HERO』ほど派手なスペクタクルがあるわけでもなく、どうしても一段劣る評価となってしまう。



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