『あなたにも書ける恋愛小説』60点(100点満点中)

女優が魅力的なまとまりの良いロマコメ

メグ・ライアンをロマコメの女王に押し上げた『恋人たちの予感』の監督によるロマンティック・コメディ。同じ日公開の『ル・ディヴォース パリに恋して』にも主演したケイト・ハドソンが、こちらでもその明るい魅力を存分に発揮している。

彼女が演じるのは、スランプ中の新進作家に雇われたタイピスト。恋愛観の違う作家に、女性の立場から意見をどんどんアドバイスして作品をすすめてしまうという役柄だ。劇中劇の小説のヒロインとしても登場し、その物語同様、作家とラブラブになるのだが……というストーリーである。

ケイト・ハドソンは、普段はぱっとしない顔立ちだが、笑うと花が咲いたように可愛いらしく、スクリーンを明るくしてくれる女優さん。女性の共感を得る必要があるロマコメのヒロインとしての素質を、十分に備えている。このへん、名コメディエンヌだった母親のゴールディ・ホーンの遺伝子を見事に受け継いでいるというわけか。

小説世界と現実が交互に展開される95分間は、退屈とは無縁のテンポのよさ。小説と恋が同時に出来上がっていくという構成は実にわかりやすい。

ハーレクインの甘いロマンスのようなラストは、こういう映画を好きなお客さんをホロリとさせるもので、きっと満足させることだろう。女優がいいと、やはりこうした軽いロマンティックコメディは綺麗にまとまる。恋人とのデートにぜひどうぞ。



連絡は前田有一(webmaster@maeda-y.com 映画批評家)まで
©2003 by Yuichi Maeda. All rights reserved.