「トランスフォーマー/最後の騎士王」35点(100点満点中)
監督:マイケル・ベイ 出演:マーク・ウォールバーグ ローラ・ハドック

3歩進んで3歩下がる

「トランスフォーマー/最後の騎士王」は、「シリーズ最終章三部作の一作目」だそうだが、もはや変形メカたちがなんでここにいるのか、最終的に何をしたいのか、映画館に見にいく人の多くはすっかり忘れているのではあるまいか。

トランスフォーマーの故郷であるサイバトロン星が地球に接近、人類はいよいよ滅亡の危機を迎えた。頼みのオプティマス・プライムもあろうことか人類の敵となった。ケイド・イェーガー(マーク・ウォールバーグ)はオートボットのリーダーとなったバンブルビーらと最後の戦いに身を投じるが、すべてのカギを握っていたのは謎めいた英国紳士のバートン卿(アンソニー・ホプキンス)であった。

人類は何度助けられても機械生命体を信用せず、ディセプティコンもオートボットも一緒くたにして迫害する。やがて強大な外敵がやってきて手に負えなくなり、オプティマスらの力を借りて撃退する。しかし束の間の平和が来ればまた彼らを迫害し始め、ふりだしにもどる。

映画トランスフォーマーは、そんな繰り返しばかりのような筋書きである。まさに3歩進んで3歩下がる、同じところを言っては戻りのマンネリズムだが、おそらく中国人が見続ける限りは永遠に続けるのだろう。

こういう映画はいわゆる非拡大再生産というやつで、同じ部品を組み替えて作ったロボットのように、毎回既視感たっぷりの映像と見せ場とストーリーを特盛りで見せているだけだ。本作もまたしかり。

かつて「アイランド」のチェイスシーンを流用したように、こんなに新味のない映画でいいのなら、いっそ過去のトランスフォーマー映画のシーンからバンバン再利用して作ったほうが制作費の節約もできるだろう。どうせ誰も気づきゃしない。

アーサー王伝説をストーリーに組み込んだ手法は3作目でアポロ計画の史実を組み込んだプロットと基本同じ。あとは過去のアニメシリーズなどからマニアを喜ばせる小ネタをかき集めてきて一丁上がり。なんともお手軽、創意工夫のかけらもありゃしない。

それでも全盛期のマイケル・ベイなら、シーン単位では素晴らしいものを作っていたように思う。だが、全米生涯興収ランキングトップを争うくらい大作ばかり作ってきたわけで、さすがの彼もアイデアを出し尽くしたか。本作のスペクタクルには驚きも感心もあまり感じられない。最後の騎士王どころか最後の既視感と言った感じである。

もう、誰がどう見ても賞味期限切れなのであり、だからこそベイ本人も監督を交代したがっているわけだが、結局ずっと本人がやるはめになっている。やはり、せめて新シリーズになった4作目あたりからは意欲ある人材に交代して仕切り直すべきであった。

それにしてもオプティマス・プライムは、憎めないものの毎度マヌケなリーダーである。月の裏からアブナイ奴を地球に連れてきて大損害を巻き起こした反省ももなく、今度は自分が洗脳されてまたも味方に大迷惑をかけている。

これでは人類はオートボットなんて信頼できるわけがないではないか。むしろ迫害されて当たり前。トランプだったら即座に入国拒否するレベルである。

とはいえ、同じようなキャラクターが同じような変形をして、同じような間違いをしててんやわんやして、また同じようなバトルを繰り広げるというのは、同じものを何度でも見たがる幼児や、あるいは幼児のような大人にはそれなりに楽しめるものかもしれない。

本作のレーティングは誰でも見られるGだが、そろそろ映倫もアンダー8とか、逆レーティングを検討してもいいかもしれない。

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