「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」55点(100点満点中)
監督:アレックス・カーツマン 出演:トム・クルーズ アナベル・ウォーリス

二番煎じ感がひどい

ミイラやドラキュラ、透明人間といったユニバーサル映画のクラシックモンスターたちを一つ一つ復活させて映画にし、同じ世界観の中で共演させる。いわば「懐かしの化け物版アベンジャーズ」。ユニバーサルスタジオがそんな"ダーク・ユニバース"の構想を発表し、それぞれの作品の主演スターを集めた集合写真を見た時には驚かされた。

ジョニー・デップ(透明人間)にハビエル・バルデム(フランケンシュタイン)、ラッセル・クロウ(ジキル博士)……。とくに普段は一枚看板の印象が強いトム・クルーズの姿は異彩を放っていた。「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」は、そんなダークユニバースの第一弾である。

米軍に所属するニック(トム・クルーズ)は、中東で戦いながら遺跡や遺物の横流しに手を染めている。そんな彼は地中の巨大遺跡を偶然発見、完璧な保存状態の王女アマネットのミイラと遭遇する。考古学者のジェニー(アナベル・ウォーリス)と調査するうち、ニックは水銀で封じられていたアマネットの封印を解いてしまう。

1932年の「ミイラ再生」のリブートということで、ずいぶん古いネタを持ってくるものだと思うかもしれないが、これは「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」シリーズで一度実績を残しているので、映画会社にとってはウケるのがわかっている安パイ。安定感抜群のトム・クルーズ主演というのも、絶対に失敗できないダークユニバース第一弾としては妥当な起用だろう。じっさい中国あたりでは大ヒットしていると聞く。

しかし見てみると、安パイならではの既視感たっぷりな展開、トガりのない演出など何もかも中途半端。これならハムナプトラの再上映でもやってりゃいいじゃない、といった印象である。

人気沸騰中のソフィア・ブテラが出演しているが、スタイル抜群、動き抜群のこのアルジェリア美人を十分に生かせないミイラ役。ゾンビ然とした風貌が、オトコの精気を吸い取ってアンチエイジングする演出はお約束だが、ボロボロ包帯も同時に脱ぎ捨てていくくらい、やってもいいのではないかと思う。

トム・クルーズはいつもながらの若々しさで魅力たっぷりだが、今回はこれまでにないタイプの役柄なので、どうもキャラづくりに難儀している模様。冗談を言いながらピンチを切り抜け、女性にはとっても優しい。それをやりすぎれば「ナイト&デイ」になってしまうし、有能すぎればイーサン・ハントだ。ザ・マミー! といった個性に欠けるのは否めない。普段の主演作ならそれでもいいが、本作はある事情から「トムさま」のままではまずい。

ただ、マミーに殴られ地を這ったり、蹴飛ばされて宙に飛ぶなどコメディーとアクションを融合した魅力はこのスターならではといったところ。この魅力を突き詰めていくしかないような気がするのだが、先ほども言ったように中途半端で突き抜けられず。

これが第一弾となると、ダーク・ユニバースの行く末も心配になる。企画の始まり自体、だれが見てもマーベル映画の成功の二番煎じだし、ゴジラだのキングコングだの似たようなイベントムービーが多すぎて今更感も強い。相当なものを今後出していかないと、スターの魅力だけでは持たないだろう。

むしろ今こういうのが新鮮に見えるとしたら日本映画で、デビルマンとキャシャーンとガッチャマンと進撃の巨人が一緒に出てきて何かやるとか、そのくらいの企画を考えてみたらどうかと思う。全部足せば100点くらいになっているだろうし、案外大化けするかもしれない。

ハムナプトラ/失われた砂漠の都 (吹替版)
同じ原作です。


連絡は前田有一(webmaster@maeda-y.com 映画批評家)まで
©2003 by Yuichi Maeda. All rights reserved.