「カーズ/クロスロード」65点(100点満点中)
監督:ブライアン・フィー 声の出演:オーウェン・ウィルソン クリステラ・アロンゾ

さすが、ひねっているが

製作中の「トイ・ストーリー4」にしろこの「カーズ/クロスロード」(シリーズ3作目)にしろ、そんなに皆続きを求めているものかね……という気がしないでもない。私などには、かのピクサーも続編依存症に陥っているかのように見えるわけだが、じっさい「カーズ/クロスロード」のパッとしない出来を見ると、尚更その思いを強くする。

ライトニング・マックィーンは、徐々に勝てなくなっていた。ハイテクを駆使した最新型レーサーたちの台頭に追いつくのは簡単ではなかった。焦る彼は激しいクラッシュ事故を起こしてしまう。果たしてマックィーンは復帰できるのか、それとも引退を決意するのか……。

かつては最新鋭の若いレーサーマシンだったライトニング・マックィーンも、あっという間に陳腐化していまやロートル扱い。それこそ新型の車にはまったくかなわないわけである。

いかにファンタジーアニメとて、車の性能差というものは努力では埋められまい。そういう先入観が観客にはあるから、一体この3作目がどういう展開をたどるのかは非常に読みにくい。堂々たる引退かもしれないし、奇跡の逆転劇かもしれない。どちらのラストでもドラマを作れる。その意味では、なかなか有利な位置にいる3作目である。

実際「カーズ/クロスロード」の結末は、なかなか予想できないものであろう。ピクサーらしい、かなりひねったものになっているし、そこはさすがだなと思う。願わくば、その必然性をもう少し説得力を持って演出できていたら傑作になっていただろう。残念である。

かつてのピクサーなら、こういう完成度が後一歩、といった脚本はなかったように思う。どこかでコストダウンが行われているのか、あるいは単に不発だったのかはわからないが、この中途半端な出来はいただけない。

具体的にどうすればよかったかはもちろん言えるが、ネタバレになるので公開前の段階ではやめておく。むろん、そんなことは言われるまでもなく本作の脚本家とてわかっているだろう。ただあくまで子どもたちが主体となって見るアニメということで、なかなか採用しにくいアイデアというものがあったのだろう。

だが、結局そこで日和ったがために1であれほどの凄みを見せた脚本のパワーがこの3作目からは失われているのだからやはり問題である。

とはいえ、それでも私が「カーズ/クロスロード」を切り捨てられないのは、本作がもしかすると「トイ・ストーリー3」に比類するか、と思わせるだけの期待感を途中まで維持していたからである。つくづく惜しい。

カーズ (吹替版)
傑作です。
カーズ2 (吹替版)
こちらは微妙。


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