「パワーレンジャー」60点(100点満点中)
監督:ディーン・イズラライト 出演:デイカー・モンゴメリー ナオミ・スコット

日本の香りが残るヒーローアクション

東映が奥ゆかしいのか、ほとんど宣伝しないものだからあまり日本人には知られていないが、93年から日本のスーパー戦隊シリーズをアメリカで放映したパワーレンジャーは、あちらでは記録的な大ブレイクとなり今に至る。

ドラマ部分を現地の役者で再撮影し、日本版のアクションシーンと組み合わせる。そんなハイブリッドコンテンツとして始まったパワーレンジャーが、いま堂々たる実写映画となっていよいよ逆輸入される。

アメリカのエンジェル・グローブという小さな町。ジェイソン(デイカー・モンゴメリー)ら5人の高校生は、奇妙なコインを手にしたことで超人的なパワーを身に着ける。彼らはかつて地球を守ったパワーレンジャーの一人ゾードン(ブライアン・クランストン)とコンタクトし、彼らが封印した悪の戦士リタ(エリザベス・バンクス)の復活を止めるよう言われるが……。

コインの力は得たものの、変身するにはあるスキルと修業が必要になる。ヒエラルキー上も(ここ大事)人種もバラバラな高校生が、果たして団結してパワーレンジャーになることができるのか。そんな始まりの物語である。

最近のメジャースタジオはこぞってアメコミヒーローを実写化しているが、不思議なもので「パワーレンジャー」はそのどれにも似ていない。やはりどこか日本らしさを残している。

日本のものより対象年齢層がやや上なので、大人が見てもギリギリ退屈しないが、大人だけで鑑賞したいかというと微妙である。やはり中学生以降くらいの男の子を連れて見に行く用途が最適と言えるだろう。

この中学生向け、というのがミソ。最初にも書いたがこの映画は学園ヒエラルキーものなので、いわゆるティーンエイジャーなら興味津々。一方、小学生低学年の子にはちょいと早すぎる気がするわけだ。

大人の目からひとつの映画としてみると、そんな少年時代の心を思い出すし、同時にシャレのきいた設定をくすくすわらって楽しめる一面もある。

たとえば地球の運命を決める場所に選ばれたあるドーナツチェーン店は、はたしてその設定のために本作にいくら投資したのだろうとか、敵役がゴールドをモチーフにしているのはやっぱり社会派的な含意があるんだろうかなど、本題とはちょいと別のところで興味深かったりする。

ヒーローキャラクターにはLGBTが含まれていたり人種も性別もバラバラ、自閉症児までいる。そんな彼らが一致団結すると変身できるという制限を設けて、作品のテーマをわかりやすく伝えてくる。

肝心の戦隊アクションは意外と少ないのだが、舞台が鉱山だったり、音楽が勇猛なテーマ曲風だったりと、日本人ならそれっぽさを感じる空気がちゃんとあってとても楽しい。それは同時に、どことなくチープな印象も与えるものだが、それもまた味というものだ。マーベル映画だけがヒーローものではない。こういうアプローチもあるのである。

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