「トリプルX:再起動」35点(100点満点中)
監督:D・J・カルーソー 出演:ヴィン・ディーゼル ドニー・イェン

もうXスポーツは似合わない

エクストリーム・スポーツをアクションに取り入れた斬新なスパイ映画として世に出た「トリプルX」から15年。シリーズ3作目となる本作では一作目の主演:ヴィン・ディーゼルが復帰して話題だが、残念ながら時すでに遅し。彼とて寄る年波には勝てない。

長年身を隠していたXスポーツ界のカリスマ、ザンダー・ケイジ(ヴィン・ディーゼル)のもとに政府から使者がやってくる。彼らはジャン(ドニー・イェン)率いる謎の犯罪集団により奪われた、軍事衛星のコントロール装置を取り戻してほしいという。ザンダーはこの最強の敵に対し、昔馴染みをまわり新たなチーム「トリプルX」を結成、作戦に挑む。

ヴィン・ディーゼルは一作目の時にすでに30代中盤でいまやアラフィフだが、単純な問題として、この年齢でXスポーツというのは似合わない。いや、愛好家が多いのはわかるのだが、大スクリーンで見るとまず絵的に合わない。ずんぐりむっくりしたガチムチのおじさんがスキンヘッドでスケボー滑走してもどうなのよ、といった具合である。

しかもこのキャラクターは不良ぽさを前面に出していて、すでに前々作の時点でギリギリな印象だったのでなおさらである。ましてお国のためにと女を抱きまくる絶倫キャラを演じるのはあまりに痛々しい。毛皮コートがトレードマークというわけだが、もう無理すんなと声をかけたくなる。

肝心のアクションも、スケボーシーンだけは映画の最初だけあって新鮮味があり、疾走感も悪くないが、それ以外はCGの助けを強く感じさせる年寄りくさいもの。これじゃトリプルXじゃなくてトリプルCGじゃねーかと毒づきたくなるレベルである。

最初のネイマール登場シーンも、本編が面白けりゃ「遊び心」と評価されるところだろうが、このできばえではスターを見世物にするバラエティ番組並というほかない。

そもそもXスポーツ系の動きというのは、観客もYouTubeその他で本物の動きを見慣れている。ストリートで名を挙げた競技者本人が映画出演、なんてことも少なくない。そういうものをメインとするなら、やはり役者といえど相当な実技ができないとダメだ。

これはアクションスターとして名高いドニー・イェンでさえ同様で、格闘シーンのとても50代とは思えぬスピードと切れ味に比較すると、パルクールもどきで街中を駆け回るシーンは相当見劣りがする。

この映画は中国資本が入っているため彼のようにアジア市場で人気がある役者が深く脚本に絡んでくる。出演者同士は意気投合したそうだが、完成度の向上には寄与していないように思える。トニー・ジャーに至っては扱いも微妙すぎ。役作りもうまくいっておらず、ほとんどバンコクの屋台あたりでくだ巻いて暴れている酔っ払いにしか見えない。

多数の凄腕たちがチームメイトになるストーリーも、それまでの個々人のアクションがいまいち、すなわち十分な「デモ」を見せられていないので共闘のワクワク感が生まれていない。

ストーリーは、いろいろ二転三転らしきものがあったりするが、ことごとく理由付けがいいかげんで泣けてくる。中途半端に下ネタが入っているので、アクション好きの子供たちにも見せられない。かといって脱いでほしい美人はまったく脱いでくれない。

あらゆる点で、期待したものが見られない感にあふれている。これでも続編製作に意欲満々というのだから、チャイナマネーというのも大した力である。

 
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