「天使にアイム・ファイン」35点(100点満点中)
監督:園田映人 出演:雲母 芦川よしみ

幸福の科学・謹製のアイドル映画

幸福の科学総裁の大川隆法氏(本作のプロデューサーでもある)は、日本で一番自由な映画作りをしているのではないか。「天使にアイム・ファイン」の奔放ぶりをみるとそう思わざるを得ない。

美しい天使(雲母)が人間界を眺めている。彼女の視線の先には、生きることに苦しんでいる5人の男女がいた。彼らを守護するため、天使は下界に舞い降り寄り添おうとするのだが……。

巻き髪のかわいい女の子が、5人の気の毒な人間たちのもとに降り、人助けをしようとする。歌って踊る見せ場もある。なんとびっくり、これはどこからどうみてもアイドル映画、である。

映画初主演となる雲母は、自身も「苦手」と語る歌は確かにへたっぴではあるが、独特のアニメ声はかわいいし、脚は細いし、なにより笑顔の神々しさはまさに白金のお城にだって負けないくらいの真っ白な雰囲気をかもしだす。確かに天使のようなアイドルである。

彼女がいきなり地上界の5人の人生に首を突っ込む単刀直入な展開は、普通の映画じゃありえないハイテンポではあるが、そんなわけでなんとなく許せてしまう。むしろノーグダな流れには好感すら持てる。

そんな感じで始まった映画だが、ストーリーにはなるほど宗教界の再右翼たる、幸福の科学らしい要素も見受けられる。

たとえば5人の悩める人間のうち一人は、選挙での当選をめざす保守憂国系の泡沫候補。ほかにも福島原発事故の風評被害でつぶれかけている青果店の息子、なんてのも出てくる。製作委員会方式で作る映画では、色々とあぶなくてこういうキャラクターはまず出てこないだろう。こういうところが、幸福の科学ムービーの強みであり、面白いところである。

とくに青果店のストーリーは興味深い。決して原発批判ではなく、自己責任で本人みずから立ち上がろうとするところが、まさに彼らの思想そのものといった感じ。そのくだりは、現実はそう簡単ではないだろうと思うもののなかなか感動的で泣かせる。天使が新聞配達先の人々の本音を見せる場面はとてもいい。

相変わらず、この映画を誰に向けて、なんのために作っているのかが見えにくいのは難点だが、雲母の魅力をフィーチャーして、東北を彼らなりに応援したいという気持ちは伝わってきた。

きくと、大川隆法総裁はアベンジャーズが大好きだそうだが、ああいう大スケールの娯楽映画をバリバリの極右保守系軍事もの、みたいな感じで映画化してはもらえないものか。近未来ではなく現代で、敵キャラ&日本政府内その他はもちろん実名登場ということで。

そういうフリーダムな映画を作って公開までこぎつけられる力を持つ人物は、ほかにはそういるものではない。

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実写映画2本目。
手塚治虫の霊言
そうだ、手塚さんに監督してもらおう。


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