「さらば あぶない刑事」55点(100点満点中)
監督:村川透 出演:舘ひろし 柴田恭兵

古きよき、昭和は遠くなりにけり

50代以上くらいのチョイワルな元若者たちをターゲットにした刑事ドラマシリーズの、正真正銘完結編。 潔い終わり方は、一抹の寂しさと共に清々しささえ感じさせる。

問題児と言われながらも、命がけで横浜の治安を守り続けてきたタカ(舘ひろし)とユージ(柴田恭 兵)も、いよいよ定年を5日後に控えていた。宿敵である銀星会の残党を追っていた彼らは、さらなる 巨大な敵、中南米マフィアをも相手にし始める。そんな二人の身を案ずる町田透(仲村トオル)は、あ えて謹慎処分を下して現場から離そうとするが……。

アドリブ満載の二人のやりとり、そこから生まれる名言、下品にならない下ネタの数々、他の誰にも真 似できない独特のダンディズム……。そうしたルールをわかった人だけが見に行くべき、ファンムー ビーである。

出演者たちの年齢を聞けば、さすがにこれ以上作るのは無理だと諦めがつくものの、皆楽しんで演じて いるのがわかるし、ここまでくると見ていてほほえましさすら感じられる。ファンにとっては最後の贈 り物と言うことで、見逃すわけにはいかないだろう。

そんなわけで、この映画はエクストラサービスそのものだから内容についてうるさいことを言うつもり はない。世界観をちゃんと守り、破たんなくまとめている。このマンネリズムを欲する人も多いのだか ら、これはこれでいいのだ。ファンなら見て損はない。

むろん、浅野温子のハイテンションはさすがに痛々しいし、あれをセルフツッコミなしで続けられると、 もはやほとんど頭のおかしな人であるから見ていてつらいものがある。その点、主人公二人(と仲村ト オル)はバランスのとり方が円熟していて安心感がある。

また、東映が押したい事情があるのだろうがタカの恋人役、菜々緒の存在は、舘ひろしの魅力を相当ス ポイルしてしまっており、大きな問題点である。具体的には、彼女と並ぶと舘ひろしの加齢が悪目立ち する。これは菜々緒の魅力の7割くらいが若さにあることが原因である。若い女優を使うにしても、も うすこし年齢以外の魅力の比率が高い人を使えば、こうはならなかった。

ほか気になる点としては、アクションシーンなどでアイスピックが人体に刺さっている場面。根本近く まで刺さっていないと、非常に安っぽく見える。もう少し丁寧にやってほしい。

それでも、舘ひろしのライド&ショットガンはあいかわらず格好いいし、柴田恭兵の疾走も64歳の年齢 を感じさせない軽快さ。とにかく二人とも元気がいい。

なんやかんやいっても、最後にこれを見られたのはよかったなと、それなりの満足感を得られることだ けは間違いない。

 
あぶデカ30周年記念 あぶない刑事ヒストリーBOOK 1986→2016
長く愛されたシリーズです。二度とこういうのはできないでしょう。
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