「ピクセル」80点(100点満点中)
監督クリス・コロンバス 出演:アダム・サンドラー ケヴィン・ジェームズ

懐かしゲームが襲ってくる

「ピクセル」の原案というべき2010年公開の短編ムービーは、ゲームキャラの攻撃を受けると爆発する代わりにキューブ上にばらけてしまうアイデアで意表を突いた。日本のアニメ映画「ガリバーの宇宙旅行」(65年)にも同様のアイデアが出てくるが、こちらはファミコン世代になじみぶかい、荒いドット絵に変身させられる点が笑いと恐怖感を感じさせる。なかなか秀逸なものだ。

NASAが外宇宙探査機に乗せた地球外生命体への友好的メッセージ。だがそれを曲解した宇宙人は、そこに含まれていた攻撃性の塊のような映像に自らの姿を変え、地球へ先制攻撃を開始した。緒戦で蹴散らされた米軍とアメリカ政府は、彼らの姿が80年代のアーケードゲームそのものであることから、当時の少年ゲームチャンピオンだったサム・ブレナー(アダム・サンドラー)らを人類最後の希望として招集する。

短編映画のアイデアを膨らませ、アダム・サンドラー映画としてまとめた「ピクセル」は、日本人にもなじみ深いゲームがたくさん登場するアクションコメディーだ。

何しろここにでてくるのはパックマンやドンキーコングなど、おじさん世代には涙がでるほどなつかしキャラクターばかり。それらが町を襲う様子は、血が流れないだけにどこかコミカルでほのぼのとしている。

しかし、都市破壊のスペクタクルはさすがハリウッドということで安っぽさはゼロ。地球が侵略される系のエンターテイメント映画として、見応えは十分だ。

アダム・サンドラーは、いつもながらの朴訥としたキャラクターでファンを安心させるものの、さすがに年齢的にどうなのかというギリギリのところ。こういう映画が作られるのも、きっと残り少ないのではなかろうか。

ゲームのセレクト的にはやはりアメリカ人向けということで、微妙に日本人の好みからズレている気がするが、日本でここまでのクォリティの映画は作れないのだから我慢するしかない。というより、このネタで日本人向けのやつを、誰か作ってくれないものかと切に願う。ゼビウスやグラディウス、スぺランカーにたけしの挑戦状と、さぞかし賑やかでシュールなことになるだろう。

それにしても、こうした映画に各ゲーム会社はよくぞキャラクターの使用許可を出したものだ。その遊び心には敬意を表したい。

主人公の親友が大統領という設定すら荒唐無稽に見えないほどのとっぴな物語。しかし見せ場に手抜きはなく、ギャグはキレキレ。日本人のゲーム世代にとっては見逃せない、二度とはなさそうなオモシロ企画といえる。

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