「スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救Woo!」20点(100点満点中)
監督:ポール・ティビット 出演:アントニオ・バンデラス トム・ケニー

ぶっとびすぎ

「スポンジ・ボブ」は日本ではキャラクター先行の人気となっていて、中身も知らずにストラップをつけている女の子も少なくない。海外ではやれゲイの象徴だとか、民主主義運動のシンボルになったりなど、よくわからない解釈で受け取られていたりもする。

そんな世界的なビッグウェーブに乗るどころか海岸に近づいてもいない私があれこれいうのは申し訳ないのだが、それにしてもこいつはそうとう乗る人を選ぶサーフボードである。

海底都市ビキニタウンに暮らすスポンジボブは、ハンバーガーショップ「カニカーニ」でアルバイト中。そんなある日、海賊のバーガー・ビアード(アントニオ・バンデラス)がカニカーニ一番人気のバーガーのレシピを奪ってしまうのだった。

GWのお仕着せなファミリーアニメも落ち着いたし、ちょいと変わった映画でも家族で見るかと思っている人には、少なくとも本作のチョイスは不適当である。あるいは、ちょっと流行ってるみたいだから見ておくかな、といった怖いもの見たさ組もしかり、だ。

「スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救Woo!」をいささか控えめに一言で表現するならば、「世界一明るいどこかのラテン系民族が、強烈なアップ系ドラッグをきめた状態で作り上げた映画」といったところ。素っ頓狂と不条理とドタバタが解け合うことなく混じりあい、見れば確実に脳味噌に悪影響を及ぼす毒電波。

まっとうな生き方させたいならば、とてもではないが我が子には見せられない、そんなすさまじいアニメ映画である。

とはいっても、決して不謹慎なエロシーンだとかが連発するわけではない。セリフにピー音がはいるところも1回あるが、基本的には実写と3Dアニメと2Dアニメの融合である。それだけですでに普通ではないが。

見応えあるのは何度も繰り返されるタイムトリップシーン。時間というより別のものによるトリップを思わせるこの演出。見ると危険なほど癖になる。

……と、なんだかんだいって楽しんでいる自分がいたりもするが、あえて低い点を付けているのは気軽にライトユーザー、とくにファミリーが迷い込まないようにとの心優しい配慮からである。

私がこれを見るとしたら、ヴィレッジヴァンガードあたりをうろついているちょっと面倒くさいサブカル少女とのデート用、である。そんな機会があるとは思えないが。

なお私は吹き替え版をみたが、事情通によれば黄色いスポンジファンには字幕版がおすすめだそうである。ご検討のほどを。

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これが女子の部屋にあったらなんか嫌だ。
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テレビ版を見たい人。


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