「ジャッジ 裁かれる判事」80点(100点満点中)
監督:デヴィッド・ドブキン 出演:ロバート・ダウニー・Jr ロバート・デュヴァル

犯すはずのない父親の罪の真相

父子の癒しの物語になっている「ジャッジ 裁かれる判事」には多くのサブテーマが含まれており、非常に見応えがある。とくに息子を持つ父親がみたら、これはたまらない心に残る一本となるだろう。

金のためならどんな悪人の弁護もする凄腕弁護士のハンク・パーマー(ロバート・ダウニー・Jr)。あるとき彼は、長く疎遠となっている判事の父親ジョセフ(ロバート・デュヴァル)が、殺人事件の容疑者となったことを知る。不良の申し子のようなハンクと違って堅物を絵にかいたような父親が、よもや法を犯すなどあり得ないと思った彼は、故郷に戻って事件を調べ始めるが、数々の状況証拠は父親に不利なものばかりだった。

この映画が描いているのは、人が人を裁く難しさとか、依頼人を救うために手段を選ばぬ弁護士ってどうなのよ、といった問題がまず挙げられる。さらに、息子の助けを素直に受け取れない父親の心情や、過去の罪をどう贖罪すればいいのかなど、様々なサブ要素もはらんでいる。事件の真相、鍵をにぎる父親の本音がなかなか明らかにならず、それで引っ張るミステリーとしても良質。

「ジャッジ 裁かれる判事」は実にエキサイティングながら、静かで味わい深いドラマである。舞台となるのは架空の町(インディアナ州との設定)だが、どこにでもありそうな田舎町の風景が郷愁を感じさせる。元カノの店の窓外に見える滝などロケーションもすばらしいし、カメラも安定している。癒しと贖罪という作品のメインテーマにもぴったりな映像である。

えげつないやりかたで勝利を重ねてきた金融弁護士ハンクをはじめ、それぞれの人物の背景のドラマも必要十分に描かれ、説得力と共感にあふれている。大衆作品に慣れているデヴィッド・ドブキン監督の良さが存分に発揮された。おそらく多くの人に愛される作品となるだろう。

泣けるポイントも多い。バスルームで父親を助ける場面、ハンクが娘と父親を初めて対面させる場面、判決がでた直後の父親役ロバート・デュヴァルの演技など、特にすばらしい。肝心の真相についてもまたしかり。

こういう優れた映画を見ると、きっと幼い息子を持つ父親は思うだろう。自分たちの子らもこんなふうに成長してくれるのだろうか、楽しみだな、と。

もっとも、あなたがすでに救いようがないほどに成長した息子さんを持つ身だったとしても、とりあえず映画の良さは変わらないので落ち込む必要はない。それほどには。

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