「スパイ・レジェンド」60点(100点満点中)
監督:ロジャー・ドナルドソン 出演:ピアース・ブロスナン オルガ・キュリレンコ

スパイ映画好きな中高年向き

ジェームズ・ボンドが活躍する007シリーズを支えてきた中高年層には、伝統的というべきスパイアクション映画のニーズがあることを「スパイ・レジェンド」は改めて教えてくれる。

往年の凄腕CIAエージェントとしてレジェンド的な存在であるピーター・デベロー(ピアース・ブロスナン)は、スイスで引退生活を送っていた。ところがかつての同僚たちが次々と殺されていることを知らされ、かつ自分の大切な人まで失ったことで、事件の真相を探ることを決意する。

「スパイ・レジェンド」は、重要人物が真横で撃ち殺される場面をはじめ、映像面でいくつかはっとさせられる切れ味鋭いスパイ映画である。

だが、それ以上に特筆すべき点もなく、映画の完成度としては平均的。日本では知名度のない原作ものということもあって、元ボンドとボンドガールによるスパイ映画、として見る人がほとんどだろう。

ピアース・ブロスナンは、ダンディな英国諜報員というよりは、年をとったジェイソン・ボーンとでもいうべきハードなイメージで、スパイ映画の主人公としては現代的。リスクを背負いながらも若造をぎゃふんといわせることにこだわる追跡シーンなど、冷静な外見とは裏腹に負けず嫌いでちょいワルな一面もみせる。まだまだ枯れていない中年層にぴったりな、強いオヤジのアクション映画である。

それにしても、この世代向けの映画はスパイを超人か何かと思っているのだろうか。主人公は完全無欠の無敵状態で、超絶ナイスバディの美女をひきつれ難事件を解決する。いまどき笑ってしまいそうなトンデモ設定だが、それを感じさせない映像の良さで引っ張っていくつくり。

謎の美女の正体に留意しつつ、華麗な中年スパイのハリキリぶりを堪能する。本家007とは違った意味で若々しい、安定したスパイ娯楽ムービーといえる。

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この人のボンドが一番、て人は少ないかもですがちゃんとこういうBOXも。


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