「ホットロード」60点(100点満点中)
監督:三木孝浩 出演:能年玲奈 登坂広臣

女の子感涙映画

試写室で女の子たち(40代)が泣いているのを見て、確かにこの映画は悪くないが、自分は範疇外なのだなと痛感させられた。

どこにいても強い孤独感を感じていた14歳の宮市和希(能年玲奈)は、友達に連れられた暴走族の集会で春山洋志(登坂広臣)と出会い、惹かれあってゆく。

美化した湘南、美化したバイク、美化した族に美化した彼氏、そして忘れちゃいけない美化したアタシ。アラフォーな女性たちがはるか昔に生きた、これぞ青春時代。そんな80年代を描いた、まさに美化映画。ALWAYS 三丁目のヤンキーである。

やたらと白が多い原作漫画のイメージを継承する映像を作り上げた撮影スタッフと、あの年代特有のどんくささをうまく排除した衣装スタッフの力は対したもので、原作のロマンティックに涙した当時のファンは、きっと本作も気に入るだろう。

能年玲奈の透明感あるヒロインも悪くないし、少なくとも原作からの違和感はない。無理に原作ダイジェストを作るためのおかしな設定を加えることもしていない。

唯一、よくいわれる問題は、なぜいまごろホットロードなのかという、いわばコンセプト面に対する疑問である。真っ先に考えられるのは、現在の映画業界の主たる客層たるはたらく女性たちにたいして、自分にもこんなウブなときがあった的な思い出を刺激する効果である。アタイぐれはじめたのは、ほんのささいなことなのとでも言うべき、ある種の懐古趣味といってよい。

ただ、そうした本作が若い客層にも人気というのだから映画というのはわからない。あるいは女性というものがわからない、というべきか。

十七歳の地図
尾崎豊が歌い手として天才的だと思うのは、「で」じゃなく、街角「の」ラブソング〜、なんて奇妙な歌詞を違和感なく歌い上げるところ。ありえない時刻である午後4時に終業のサイレンを鳴らすとかね。ソングライターとしても秀逸なセンスを持っている。これ、ファーストアルバムにして戦闘力はほとんどベスト盤クラス。


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