「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」35点(100点満点中)
監督:高橋滋春 声の出演:戸松遥 関智一

消費物の最高峰

日本の映画界に君臨する東宝が、公開2日間で16億円という史上最高の結果をたたき出した「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」。「アナ雪」のヒットが記憶に新しい2014年の最後に、これまたとんでもない大物が潜んでいた。

ケータ(声:戸松遥)が睡眠中、なぜか妖怪ウォッチが消えてしまう。それとともにジバニャン(声:小桜エツコ)やウィスパー(声:関智一)ほかともだち妖怪の記憶さえなくしてしまう。直後に現れた超巨大猫妖怪デカニャンに対峙するさなか、そのことに気づき愕然としたケータは、わずかな手がかりをもとにおばあちゃんの住むケマモト村に向かうのだった。

小学生に爆発的なブームを巻き起こしている妖怪ウォッチの、満を持した劇場版である。事前に誰もが、こいつはとんでもないヒットをぶちかますだろうと予想していたわけだが、それを上回る高稼働ぶりに関係者はホクホク顔であろう。

じっさい見てみると、なるほど子供たちがハマるのも当然の内容。わかりやすいギャグシーン、コレクター心をくすぐるアイテムや妖怪、ゲームやテレビアニメとの連動性。すべてはマーケティング優先で、計算されつくした企画としてはじまった本コンテンツは、まさに日本の子供ビジネスの集大成ということができる。

その意味でこれは消費物の最高峰といえるわけだが、果たしてこいつを多感な幼稚園から小学生低学年の子供たちに与える意味はどこにあるのだろうか。

大人たちが何一つ心配なく見せられる健全な内容、父母世代の中年を笑わせるための適度なパロディなどは心地よいものではあるが、個人的にはこのシリーズに暇つぶし以上の価値を見出すのはなかなか困難である。

一方、同じようにビジネスの極地として存在するディズニーアニメーションは、それでも常軌を逸したハイクオリティと、優秀な頭脳が総力戦で構築する奥深い脚本、普遍的な物語性を持っており、20年たっても立ち続けるレベルを目指して作られる(とはいえ失敗作がないわけではない)。

だが「妖怪ウォッチ」的な日本の大ヒット確約組のアニメーション映画たちはどうだろうか。

そこには当初から思い付き以上のメッセージ性、哲学的暗喩は存在せず、だから子供たちが大人になってから見返しても、新たな発見はあまりないだろう。自分が子供のころ愛した作品を大人になってから見て、「こんな子供だましに夢中になっていたのか」と感じるのと、「こんなにも深い意味をこめて作ってあったのか」と再感動するのと、はたしてどちらが良い映像体験といえるのか。

「妖怪ウォッチ」を選ぶということは、貴重な子供時代の映像体験に、消費物を与えるという意味である。むろん、それをむげに否定はしない。子供同士にも社交上の共通コンテンツというものがある。これはその最たるものだ。

だからこそ親の映画選びというものは難しいと、私は常に考えている。そういうややこしいことを考えている余裕は忙しい親御さんにはなかなかないから、こうした映画を作る人たちには高い問題意識と責任感をもって、可能な限り良いものを提供していただきたいと願っている。

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