「想いのこし」60点(100点満点中)
監督:平川雄一朗 出演:岡田将生 広末涼子

定番の幽霊もの

「想いのこし」は「黄泉がえり」のヒット以来、「天国の本屋〜恋火」(04年)「いま、会いにゆきます」(04年)「ツナグ」(12年)「トワイライト ささらさや」(14年)などといった類似作品にコンセプトだけ受け継がれている、「泣ける死後の世界」シリーズ最新作。

金と女にしか興味がないろくでなしのガジロウ(岡田将生)の前に、彼が遠因で事故死したポールダンサー(広末涼子)ら4人の幽霊が現れる。成仏できない彼女たちは、ガジロウにしか姿が見えぬことから、彼に生前「想いのこし」た事をやってくれと半ば無理やり頼み込む。

「想いのこし」は、観客にさわやかな涙を流してもらい、増税オタクの総理大臣のせいでよどみきった日常のストレスを洗い流すことを目的とする映画である。その意味では、そこそこ泣ける、コンセプトに忠実なつくりになっている。

悲壮感でなくコメディを全面に出したのも正解だし、4人の幽霊たちも共感たっぷりのうまいキャラ立てがなされている。

中でも意外なのは、訳ありの若いダンサー役・松井愛莉。テレビドラマ版「地獄先生ぬ〜べ〜」で稲葉郷子を演じる彼女は、とくに横顔の作りがよく、笑顔がかわいらしい。シングルマザーのダンサー役・広末涼子ばかりが目立つかと思いきや、サブキャラにとどまらない魅力を発している。

さて、その広末だが、諸般の事情からトップレスで踊る予定は残念ながら変更になったものの、年齢を感じさせない抜群のスタイルと動き、控えめなワイヤーワークの助けのおかげで見事なポールダンスシーンを見せてくれる。

もっともそのほかには演技という演技の見せ場はなく、表情も3通りくらいでつとまるような役柄である。彼女にとっては楽な役だったろう。

惜しいのは、彼女のエピソードがもっとも平凡で、引っ張る割には意外性もなく終わったこと。ある人物がポールダンスをやる流れにもう少し必然性とか意外性があればよかったのだが、単に違和感があるだけで流れもスムースでない。もっと工夫はできなかったものか。

それにしても、この手の泣けるユーレイものも、もはや定番になってきた。「黄泉がえり」から数えても10年以上もやっているのだから当然だが、もやは稲川淳二の怪談話なみの風物詩だ。まあ、こんなものでも必要とする人がいるならば、飽きるまで作ったらいい。大人の女性向けのポケモン映画のようなものだろう、野暮なことはいわない。

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なかなか泣ける定番もの。
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