「25 NIJYU-GO」55点(100点満点中)
監督:鹿島勤 出演:哀川翔 寺島進
Vシネマ25周年記念作
Vシネマを劇場で見るニーズがどれほどあるのかは読みにくい。昔は極道ものを皆で映画館に見に行ったりしたが、今の日本人にそうした習慣はないだろう。リアリティや豪華な映像を見たいわけではない。あえていえば、フィルムに込められた情熱。そんなものを共有したいと考える人々の足が、東映Vシネマ25周年記念作品「25 NIJYU-GO」に向いているのだろう。
西池袋警察署の桜井慎太郎(哀川翔)と日影光一(寺島進)は、自他ともに認める悪徳警官。今日も押収した金が足りないと上司に呼び出されている。その返済を暗に強制されたことで追い詰められた二人だが、偶然にも巨額横領事件の容疑者・九十九信夫(温水洋一)を発見、色めきだつ。九十九はいまだ残金25億を隠していたが、しかしそれを狙うのは刑事二人だけではないのだった。
哀川翔はワルっぽい見た目とは裏腹に家族主義で知られ、子供が小さい頃から子供の方が疲れて眠るくらい遊びにつきあうという、良き父親である。
そんなファミリー精神が出演者などすべてに感じられるのが、この映画の良いところ。キャストはおなじみのVシネマスターを中心にゴージャスにそろっている。各々が共演した経験も数限りないことだろう。
そんな仲間意識がいい具合ににじみ出ている印象で、殺し合いを見せられていても妙な安心感を感じられる。
ストーリーもアクションも結末も、すべてが予想の範囲内。決して現代の映画として優れた何かがあるわけではないが、どこか許せてしまうのはそのせいか。
チープなガンアクションはスクリーンでみるともはや逆に新鮮で、クライマックスはどでかい倉庫あるいは工場跡か、とにかく予算のないアクション映画の中では、必ず麻薬取引に使われる謎の建物内で繰り広げられる。
ありがちすぎるとの意見もあろうが、この映画はすべてが"ありがち"でできているので批判の対象にすらなるまい。見ていて腹が立つ奴はきっちりぶっとばしてくれるなど、ツボは押さえてあるので問題はない。
どこの、どんな人たちがこれを望み、見るのか。私にははっきりとはわからないが、しかし彼らの望むものは詰め込んだよ、ということなのだろう。それだけはよくわかる。