「まほろ駅前狂騒曲」30点(100点満点中)
監督:大森立嗣 出演:瑛太 松田龍平

相当なファン意外にはきつい

テレビドラマ版を挟んでの映画版2作目となる本作だが、早くも一見さんお断りの、こぢんまりとしたファン専用作品となっている。

多田啓介(瑛太)行天春彦(松田龍平)がまほろ駅前で便利屋を始めてから3年。彼らは行天と浅からぬ因縁がある凪子(本上まなみ)から、娘はる(岩崎未来)を一時的に預かるよう依頼される。はるだけは知らないことだが、行天は彼女の実の父親ということであり、だから彼は彼女を預かることを激しく拒否するのだった。

映画版1作目から3年、実質3作目というのにのんびり登場人物描きをやるスローモーな展開につきあう覚悟がまずは必要になる。この最新作は行天の過去探りのような趣向なので、そこに興味がないとどうにもならない。

男だけで子供を預かり面倒を見るストーリーは既視感たっぷりでまったく先の興味を持たせないし、無農薬栽培農業とあやしげなカルト団体が絡んでいる設定もまたしかり。ドラマ作りの名手大森立嗣監督も、今回は腕が鈍ったか。

抑揚のない展開の中、90分近くたってようやく始まるバスジャック事件も遅きに失した感があるし、そこで行われる人物たちの行動、取り巻く警察の動き等々、リアリティも説得力も皆無である。シュールなキャラクターが持ち味とはいえ、それ以外の世界観まで非現実的ではまるで緊張感が生まれない。

これではまほろワールドの相当なマニア以外の一般人は、見る理由が全く見当たらないと言わざるを得ない。

まほろ駅前狂騒曲
原作自体、好みがはっきり分かれる書き手ですから。
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スペシャルですよ、スペシャル。


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