「ディス/コネクト」70点(100点満点中)
監督:ヘンリー=アレックス・ルビン 出演:ジェイソン・ベイトマン ホープ・デイヴィス

つながっていない人たち

多機能なスマートフォン普及に伴う利用者の低年齢化およびリテラシー不足が、様々な社会問題の下敷きとなってきている。たとえば盗撮やリベンジポルノ問題、ときには保釈中に河原に埋めるといった問題を起こす者もいる。

一般ユーザーの知識や教養が追いつかぬ速度で普及するIT機器やインフラにおいては、これまでもそうした問題が現れては消え、の連続であった。出会い系サイトやSNS、ツイッター。誰でも使えるそれら電脳ツールの副作用は、当然ながら世界中の映画監督の興味を引きつける。「ディス/コネクト」も、そんな映画人によって作られた、きわめて現代的な作品である。

SNSを唯一のよりどころとしていた寂しい少年ベン(ジョナ・ボボ)は、同級生の悪質ななりすましにひっかかり、破廉恥写真を相手に送ってしまう。多忙な弁護士の父親(ジェイソン・ベイトマン)はそんな息子の絶望的な状況に気づきもしない。一方、加害者少年の父親(マイク・ディクソン)も、息子とのコミュニケーションが一方的になっていることに気づいていないのだった。

なかなか現実味のある脚本で見応えある映画である。とくに、もっとも人とのつながりを求めてやまなかった少年ベンと、それとは別のある母親。この二人がいとも簡単に悪意にひっかかる展開は胸が痛む。

少年は、リアルでうまくコミュニケーションがとれないものだからネット上でのそれに過剰に期待し、悲惨な目にあってしまう。ネット上で不用意に個人情報なんぞ出してはいけないよと、ティーンエイジャーに教えるためのまさに最適な映画といえる。彼のパートは秀逸ないじめ映画として、サスペンス的な見せ場も多くなっている。父親が息子をいじめていた奴を捜し、真相にせまる流れには緊迫感がある。

と同時に、観客にはとっくに「真相」がわかっているわけで、なかなかそこにたどりつかない父親に対するフラストレーションというものをあえて感じさせる演出には舌を巻く。それによって、父親と子供のすれ違いの深刻さを伝えようというわけだ。

群像ドラマだが、それぞれのパートのつながりがシームレスでわかりにくい。ただしその分、凝縮感もでているのでマイナスというわけでもない。とりあえずは、集中してみていかないとおいて行かれそうだ。

つながりを求める人たちと、絶望的につながっていない家族たち。

この映画はそうした人々を描いているが、果たして彼らは求めるものを得ることができるのか。物語は悲劇で終わるのか、それとも……。絶妙な味付けの結末に、大いに満足できる一本である。

とはいえ、いまどきこの程度の断絶気味家庭などは普通で、むしろマシなほうかもしれない。このくらいであんな悲劇に巻き込まれるのではやっていられない。

そんなことに気づき愕然とさせられるのも、すぐれたドラマ映画の特徴といえる。

学校・家庭でできるメディアリテラシー教育: ネット・ケータイ時代に必要な力
これからは必須ですな。


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