「戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版」70点(100点満点中)
監督:白石晃士 出演:大迫茂生 久保山智夏

低予算ながらサービス精神にあふれる

この時期は大作映画や話題作が目白押しだが、そんな中、お客さんをなるべく喜ばせたい精神の固まりというべき「戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版」のような低予算娯楽映画を見ると、なぜかほっとする。小規模な飲食店で、店主の気持ちが伝わる料理を食べたような、そんな心地よさである。

オカルト現象を追いかけているディレクターの工藤(大迫茂生)は、アシスタントの市川(久保山智夏)、カメラマン田代(白石晃士)、元グラドルのあかり(小明)らとともに、今回タタリ村を取材する。ここは、立ち入っただけで気が狂うといわれるいわくつきの場所で、実際彼らに投稿されてきた映像には、正気を失う女性の恐るべき姿が映っていたのだった。

出演もしている白石晃士監督は、「ノロイ」(2005)をはじめとするモキュメンタリーを得意としており、ビデオ作品「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズは固定ファンもついた代表作。今回の映画版には、シリーズを見てきた人も驚く展開が用意されており、勝負をかけているなと感じさせる。

一般に、娯楽映画といえばハリウッドだが、何をやらせても上手に作り上げるアメリカ映画に対し、人材も予算も不足している他国の映画作家が対抗するには別の方向から攻めるしかない。その視点から見ると本作には、とくに映像面だけでもいくつもの工夫やアイデアが見られ興味深い。とくに、小明の顔面が微妙に変化していくシーンなど、ぞっとする怖さがある。

ほかにもでてくる女の子がみな粒ぞろいだったりと、まるでご飯の盛りを良くしようとのサービス精神が、細かいところにまで感じられる。個人的には小明のバストの谷間の盛り具合を高く評価したい。

それはともかく、この手のモキュメンタリーホラーというのは、「さあて何を見せてくれるのかな」という観客の期待感がとくに強いジャンルである。その期待感を越えていけるかどうか、作り手の想像力とのガチンコ勝負といってもいい。

その点、白石監督はなかなかの健闘を見せた。チープな特撮があるかとおもえば、現実にとけこむような実体感あるCGの使い方を見せたりする。いい具合に荒れ球な分、予測を裏切るおもしろさがある。

結論として、オカルト好きなカップルにとってはなかなかの掘り出し物。シリーズ初見の方でもさほど問題はないので、気軽に映画館にどうぞ。

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都市伝説系はネットとの相性もいいね。
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パッケージが怖すぎ。


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