「土竜の唄 潜入捜査官 REIJI」20点(100点満点中)
監督:三池崇史 出演:生田斗真 仲里依紗

原作の魅力の半分

「あまちゃん」大ヒットで絶好調の脚本家・宮藤官九郎が三池崇史監督とタッグを組んで送る新作アクションコメディということで期待半分、不安半分だったが、結果的には後者の予感が当たった形だ。

正義感だけはあるが警察学校から巡査となった今まで成績ドンケツ、警察組織のルールにはまることができない菊川玲二(生田斗真)。とうとうクビを宣告されてしまうものの、それは署長らのテストであった。彼はレイジの資質に期待しており、武闘派暴力団「数寄矢会」に潜入捜査官=モグラとして送り込みたいとの思惑があったのだ。

日本映画にはヤンキー枠というか、地方向きの企画というものがあって、公道レースだとか不良だとかが題材になった作品が定期的に作られている。これもその一環だが、こういう作品は作品の質にかかわらず、DVD化後の回転が良いのだという。

だからというわけでもないだろうが、この映画版の手抜き感はひどい。

一流のリリーフ投手は、1点差になるまでは「遊ぶ」から防御率は悪い、という格言が野球にはあるが、これもまさにそう。監督も脚本家も一流だが、どう考えても消化試合クォリティで「本気」が感じられない。

クドカンの書く「セリフの自然さ」は当代一流で、ギャグも時折よく切れる。三池監督の格闘シーンの撮り方は迫力も緊迫感もありとてもよくできている。邦画界有数のテクニシャン二人がやれば、「遊び」でもこの程度は余裕だ。

だが本作は、結局そうした才能たちによるチープな消費物に過ぎない。山田孝之演じる月原との決着のつけ方、最後の一発のあたりなど見ると、もう何も考えてないで演出しているのだろうなと呆れてしまう。

役者はおおむね原作のイメージ通りで悪くない。とくに真の主人公たるパピヨン=日浦匡也を演じる堤真一は、彼以外にいないだろうといったところ。月原役の山田孝之も、冷たい感じがピッタリだ。こうしたツボを抑えたキャスティングの力は、高く評価したい。

原作の魅力は、ディテール豊かに描かれた暴力団社会のしきたり等、現代ヤクザものとしてガチガチな世界観の中で、荒唐無稽なバトルアクションが繰り広げられるギャップ感。とくに、時代錯誤なほど任侠道を貫くクレイジーパピヨンらが時折発する人生哲学がシビれる。いい種も悪い種も、自分でまいた種は自分で刈り取るのが人生という奴なのである。

クドカン脚本と三池ワールドは、こうした原作の世界観とキャラクターの「突飛な」部分は再現できているものの、もう一方の「カッコいい悪さ」、シリアスな部分はまったく切り捨てられている。

ならばせめてもう一つのオマケ要素であるおっきなおっぱいたくさん登場な部分くらいは映像化してほしかったところだが、中途半端にメジャーなキャストがそろっているためそれもかなわず。仲里依紗演じる純奈との童貞喪失シーンは彼女のエロ演技がハマり、よく頑張ったほうだと思うがお金を払って見に行きたいと思う見どころになっているかというとまだまだだ。

繰り返すが、ヤンキー枠の消費物映画だからといって、省エネがバレバレなつくりは個人的にはいただけない。映画というならば、どんな小さなものでもどこかしら少なくとも一点には妥協なしの本気を見たいものである。その力は十分にあるスタッフ、キャストなのだ。もう少し頑張れ。

土竜の唄(1) (ヤングサンデーコミックス)
原作第一巻。爆発的に面白いわけじゃなのだが、気づくと何冊も読んでるような漫画です。


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