「ムービー43」5点(100点満点中)
Movie 43 2013年8月10日公開 2013年/アメリカ/カラー/94分/配給:アスミック・エース
監督:スティーブン・ブリル、ピーター・ファレリー、ウィル・グレアム スティーブ・カー、グリフィン・ダン、ジェームズ・ダフィ ジョナサン・バン・トレケン、エリザベス・バンクス、パトリック・フォースバーグ ブレット・ラトナー、ラスティ・カンデッフ、ジェームズ・ガン キャスト:エリザベス・バンクス ハル・ベリー レスリー・ビブ ジェラルド・バトラー ジョシュ・デュアメル アンナ・ファリス リチャード・ギア ヒュー・ジャックマン リーブ・シュレイバー ユマ・サーマン ナオミ・ワッツ ケイト・ウィンスレット

たしかにひどい

炎上マーティングという手法も最近は認知されてきた。わざと他者をイラつかせる事を書いて話題を呼ぼうというやり方のことだ。この私も時折、わざと話題作を口汚くけなせばアクセスが増えるよ、なんて助言をいただくことがある。

しかし、毎年800本も映画は公開されているのであり、こちらはイヤというほどダメ作をみているのだ。ちっとも喜べない話ではあるが、そうしたバカげた手法を取る必要など全くないのである。これまで通り、愚直に真実を伝えればそれでよい。

脚本家のチャーリー(デニス・クエイド)は大物プロデューサー(グレッグ・キニア)のオフィスで企画を売り込んでいる。だが彼のアイデアはどれもろくでもないもので、とても製作費が集まりそうにないタブーものや、素っ頓狂なだけのイカれたものばかり。はたしてチャーリーの珍企画は、映像化される可能性はあるのだろうか。

『メリーに首ったけ』のピーター・ファレリー監督が提案し、賛同した大勢の監督・スターの手により完成した「ムービー43」は、本国では大コケした失敗作。興行はもちろんだが中身の評価もさんざんで、世にダメ作は数あれど、これほど低評価は映画はそうそうない。

実際みた宣伝会社もあきらめたのだろう、さすがの彼らも本作のいいところを探す努力は早々に切り上げ、「ダメ映画界の「市民ケーン」」などと無理筋なコピーをひねりだした。ある種の炎上マーケティングに活路を見出すほかはないというわけだ。

「5分で見るのが嫌になる」なんてふれこみはいくら何でもひどいと思うが、見てみると確かにその通りなので反論ができない。

いや、婚活美女がイケメン高収入な男と会ってみたら、なぜかのどに睾丸がぶら下がっていた「ネック・ボール」(ピーター・ファレリー監督)はなかなか笑えるかもしれない。この時点ではなかなかいけるかも、と思ったのは事実である。

しかし、世紀の最低映画の称号は伊達ではなかった。その後は短編をかさねるごとに笑いは減ってゆき、そのうち一刻も早く終わらないかと考え出し、やがて今この瞬間に席を立つか、それとも最後のひと笑いに期待して残り数十分持ちこたえるか、あるいは昨夜の睡眠不足を補っておくかと迷い始める。むろん、選択肢はあなたにゆだねられている。

いずれにしても、どうしようもない出来映えである。しかも同じダメ映画でも、確信的にダメ感をねらったらそれが外れてしまったという、救いようのない痛さである。

いろいろ考えながら見たのだが申し訳ない。いったい誰にこれをすすめればいいのか、ついぞ私には思いつかなかった。さらにいえばその試行錯誤には、無理をしたとき特有のストレスと、予想以上の労力がかかったことを、ここに愚痴として記させていただくことをどうかお許しいただきたい。



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