「野蛮なやつら/SAVAGES」65点(100点満点中)
Savages 2013年3月8日(金)TOHOシネマズ みゆき座他ロードショー 2012年/アメリカ/カラー/131分/R15+ 配給:東宝東和
監督:オリバー・ストーン 原作:ドン・ウィンズロウ「野蛮なやつら」(角川文庫) キャスト:テイラー・キッチュ アーロン・テイラー・ジョンソン ブレイク・ライブリー ジョン・トラボルタ サルマ・ハエック ベニチオ・デル・トロ

三人寄れば文殊の知恵

「犬の力」で知られるミステリ作家ドン・ウィンズロウ原作の映画化である本作は、オリヴァー・ストーンが監督することによりユニークな味わいが加わった。

植物学者ベン(アーロン・ジョンソン)と元海兵隊のチョン(テイラー・キッチュ)は、ベンの専門知識とチョンの暴力を生かして大麻栽培ビジネスで成功した。親友同士の彼らは恋人(ブレイク・ライヴリー)の愛も分け合い、奇妙な3人生活を送っている。そんなある日、メキシコの巨大麻薬組織が業務提携名目で、なかば強引な契約を持ちかけてきたが……。

若者二人がベンチャービジネスで成功し、その収益でアフリカ慈善事業に精を出す。そんな序盤の説明からして、IT長者たちへの皮肉である。なにしろ扱う商品が麻薬というだけで、やってることは同じ。海兵隊としてアフガニスタンで戦ったチョンが、帰国しても殺人を屁とも思わぬ戦闘機械になっている設定も、どこかブラックさを感じさせる。

この映画は社会派作品ではなくスタイリッシュなアクションエンタテイメントだが、ところどころにこうしたオリヴァー・ストーン監督らしいスパイスが効いている。

映像は荒々しく、そして生々しい。メキシコの空気感というか、治安の悪さを感じさせるもので、ラド役ベニチオ・デル・トロの強烈な演技もそれに輪をかける。終盤の仕掛けもそこそこで、全体的にインパクトのある一本となっている。決して年間ベストをうかがうような傑作ではないものの、何も期待せず週末にぶらっと映画館に寄ってこれを見たら、結構な満足を得られるだろう。この手の映画を好きな層が喜びそうなキャスティングも魅力だ。

一人の美人をシェアする恋愛スタイルもなかなか面白い。一人が留守の時はもう一人がお相手する。寂しがり屋の女の子にとっては、これはたまらない。二人の男に守られる安心感。男側もいろいろな負担が半分に減るので悪くない。二人で協力すれば目が届かないことがないので、どれだけモテる子とつきあってても心は安泰だ。

恋人を演じるブレイク・ライヴリーはヌード拒否の女優として有名だが、なかなかどうして激しい濡れ場を演じており驚かされる。

万人向けというわけでは決してないが、いろいろ見るところのある一本である。

犬の力 上 (角川文庫)
ドン・ウィンズロウといえばこれ。
野蛮なやつら (角川文庫)
映画の原作はこちら。


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