『アンフェア the answer』65点(100点満点中)
2011年9月17日公開 全国東宝系 2011年/日本/カラー/109分/配給:東宝 原作:秦建日子 監督・脚本:佐藤嗣麻子 出演:篠原涼子 佐藤浩市 山田孝之 阿部サダヲ 大森南朋

≪テレビドラマ+アルファ程度の仕上がりだが、それなりに楽しめる≫

映画版の前作「アンフェア the movie」(2007)は、佐藤嗣麻子監督の苦手分野だったかテロリスト周辺のリアリティ欠如が目立つ凡作だったが、興行面では27億円を超えるヒットとなった。そこで出産後、本格的に復帰してきた篠原涼子を再び主演に据えて、このたびその続編が作られた。おまけに完成後、篠原涼子の第2子の妊娠が発表されるなど、なにやら子宝に恵まれたシリーズとなった。

元警視庁捜査一課の刑事・雪平夏見(篠原涼子)は、(前作で描かれた)警察病院占拠事件後に左遷され、今では北海道の平凡な警察署に勤務している。そんな彼女の前に現れたのは元夫でジャーナリストの佐藤(香川照之)。彼は都内で連続発生している猟奇殺人の容疑者として追われていた。雪平には新しい恋人である同僚の一条(佐藤浩市)がいたが、佐藤の話に彼女は思わず狼狽するのだった。

雪平が握る、警察組織が恐れる決定的な情報と、夫が容疑者となって追われる事件がどうかかわってくるのか。すべての謎が解けるラストには仰天度100の驚きが待っているというのが売り。

それはひとまつ置いといて、まず本作では雪平をスーパーヒーローにしていない点がよい。凶悪な犯罪者や男たちの前では、いくら優秀な刑事とはいえ女の力ではかなうはずがなく、あっという間にピンチに陥る。そうした現実ではごく当たり前の展開が、観客に安心感を与えている。演じる篠原涼子がSMチックに縛られ下着一枚で弱音を吐くシーンに、サディスティックな喜びを感じたからほめているわけでは決してない。

CGを使った爆発場面など、男っぽいアクションが混じってくると途端にチープな本性がバレかけるが、今回はそれよりも、羊たちの沈黙風のサイコサスペンスを目指す趣向のようで、最後まで致命的なほころびは見られなかった。地味だが、シリーズ完結も匂い立つ独特の破滅的なムードが功を奏した。

で、最大の売りのどんでん返しについてだが、相変わらずのアンフェアぶりで、論理性を重視するミステリファンには不評を買うだろうが驚きだけはある。まさに、観客を脅かすためなら何でもアリ。さすがにあるアイテムの常軌を逸した高機能ぶりには突っ込みを入れたくなったが、目くじらを立てるような映画でもあるまい。

それにしても、USBメモリのことを単にUSB、USBと皆が連呼するのは違和感がある。AKBならそれだけで意味が通じるが、USBじゃあまりに略しすぎではあるまいか。アンフェアな結末より、そちらの方がどうも気になる。

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映画版前作。コメント欄の荒れぶりに注目。


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