『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』75点(100点満点中)
2011年/日本/カラー/配給:東映
監督:柴崎貴行 原作:石ノ森章太郎 脚本:小林靖子 出演:渡部秀 三浦涼介 高田里穂 酒井美紀 松平健
≪暴れん坊将軍がライダーと共同戦線を張る超絶純正コラボレーション≫
仮面ライダー40周年イヤーということで、さすがに今年のライダー映画は気合が入っている。全ライダーがイナゴのように登場する前作に引き続き、早くも強烈な最新作が登場した。『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』は誰も予想しなかったコラボレーションが魅力の話題作である。
欧州の森の中で、失われたメダルを発掘していた鴻上会長は、危険すぎる錬金術師ガラを甦らせてしまう。その強大な力により各地で大異変が発生、オーズこと映司(渡部秀)やアンク(三浦涼介)がいる東京・新宿副都心周辺も、そっくりそのまま江戸時代と入れ替わってしまう。
相変わらずちょっとヘタレで優しすぎるライダー、オーズであるが、そのキャラクターと今回コラボする相手は実に相性がいい。その相手とは、同じ東映が誇る江戸時代最強キャラ、暴れん坊将軍である。
オーズが江戸時代に飛ばされ、そこで怪人たちにフルボッコにされいよいよやばいというとき、見かねた新さんこと徳川吉宗(松平健)がついに白馬(とあのテーマ音楽)に乗って加勢に現れる。この瞬間の試写室の爆笑度合いと盛り上がりっぷりはもはや異常レベル。いかにこの業界にオッサンが多いかの証明でもあるが、これは確かに面白い。
若く、まだ未熟な部分もあるが誠実さだけはナンバーワンのオーズに比べ、吉宗はヒーローとしての品格、人格、そして強さともに圧倒的に最高峰。きっとオーズにもいい教育的効果を与えてくれたに違いない。むろん、昨日今日現れた怪人風情が徳川8代将軍にかなうわけがなく、メッタメタに返り討ちにされる。よもや江戸時代にこんな強ぇ奴がいたとは、敵もびっくりであろう。これほど爽快感を味わえるものはない。
それにしても、思い切ったことをやるものだ。太秦撮影所を松平健が歩けば、それは完全に本格時代劇であり、この映画はそこに特撮コスチュームのライダーが居候している格好。それでもジャンルを言えば間違いなく時代劇だし、しかも史上初の3Dときた。
これほどシュールな作品を見逃したら、トンデモ映画ファンとしては大損である。
しかも意外なことに、出来栄えがすこぶる良い。ヒーロー映画としての感動、喜び、爽快感は近年のライダー映画ではナンバーワン。ライダーファンも、時代劇ファンも、絶対に見に行くべき一本といえる。
だいたい4歳の子供と、80歳のおじいちゃんが手をたたいて楽しめる映画などほかにあるか? まずあるまい。親子そろってどころか、じいちゃんもひいばあちゃんも、一族郎党引き連れて出かけるべき、画期的な映画の誕生といえる。