『エクリプス/トワイライト・サーガ』75点(100点満点中)
The Twilight Saga: Eclipse 2010年11月6日(土)、丸の内ルーブル他全国ロードショー 2010年/アメリカ/カラー/124分/配給:角川映画
監督: デヴィッド・スレイド 出演:クリステン・スチュワート ロバート・パティンソン テイラー・ロートナー ダコタ・ファニング

≪超ハイクォリティ胸きゅん全部入りムービー≫

映画の上映前、予告編が始まるころに館内の照明は落ちる。そんな時間に我慢できず抱き合ってキスしはじめるようなアツアツのアベック(死語)にとって、『エクリプス/トワイライト・サーガ』はいうまでもなく最強の1本である。

なお私の場合、この上映館に一人で来ているおじさんの姿を後部座席に発見したが、たんにおじさんというだけだというのに、彼は館内で猛烈な違和感を発していた。もはや同業者でなければ説明がつかない、そんな異様な空気である。この映画に出かけようというおひとりさま男子は、くれぐれも覚悟が必要であろう。ちなみに人のことをあれこれ言う前にお前はどうなんだというクレームを、本サイトは一切受け付けていない。

高校卒業を前に、愛するエドワードと結ばれるためヴァンパイアになろうと考えているベラ(クリステン・スチュワート)。その意見に賛成しないエドワード(ロバート・パティンソン)。相変わらず前に進めない二人をよそに、シアトルでは謎の連続猟奇殺人事件が起こっていた。カイル家では、これを人間から変化したばかりの獰猛なヴァンパイア「ニューボーン」軍団によるものだと認識。ベラを守るため団結するが、戦力は圧倒的に不足していた……。

映画館の入り口ではキャラクターの絵ハガキをくれるが、目の前の女子(推定40代)などは「ジェイコブはいや、そっちのエドワードに替えて」と堂々たる主張をしていた。アメリカ本国とは比べるべくもないほど、もりあがっていないトワイライトシリーズの最新作だが、一部の熱狂的なファンは健在のようだ。

その意味で本作は、彼ら彼女らの期待に応える演出が満載。相変わららずベラは化け物たちを手玉に取るのが抜群にうまく、あっちにチュッチュ、こっちにチュッチュと肉食男子(非人間限定)たちを翻弄する。

ベラを取り合うのは、もちろんエドワード(正統派美男子)とジェイコブ(肉体派の格闘家)。両極端ながら魅力的なこの男の間を、ベラはいったりきたりして観客の女性たちをハラハラさせる。エドワードという本命がいながら、ジェイコブにも惹かれるその心理が、女性の共感を集めているであろうことは想像に難くない。ベラはジェイコブを「親友」などと呼んでいるが、それは自分への言い訳にすぎない。本当はどっちも好きに決まっている。よくばり腹黒なベラちゃんである。

今回は、やんごとなき事情から、なんとその二人がやむなく手を組むというワクワクすぎる展開になる。こいつはシリーズファンにとってはたまらない。ベラを奪い取ってバイクに乗せた時のジェイコブの表情およびベラとのやりとり、山頂のテント内でのシーンなどは、もう狙いすぎ感がありありで、私などは笑いを止めることができなかった。このハイクォリティな映像美で、これほどにおバカ寸前な胸キュン演出をやる。他に類を見ない、カップルをきゃあきゃあ言わせる好編といえる。

各キャラも見事に立っているし、アクションシーンもよくできている。ラストシーンも絶妙で、どう考えてもこのままいくわけがない感をしっかりと残し、続編への興味につなげる。

唯一気になるのは、クリステン・スチュワートとロバート・パティンソンの見た目がビミョーに劣化しつつある点か。私生活でも仲がいいそうだが、幸せ太りならぬ幸せ劣化というのは聞いたことがない。お二人にはくれぐれも、全世界のティーンエイジャー(気持ちだけ含む)の夢を壊さぬよう、頑張っていただきたい。

トワイライトIII 上 (ヴィレッジブックス)
トワイライトIII 下 (ヴィレッジブックス)はこちら。原作。
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