『劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル』30点(100点満点中)
2010年5月8日公開 2010年/日本/カラー/119分/配給:東宝
監督:堤幸彦 出演:仲間由紀恵 阿部寛 生瀬勝久 野際陽子 松平健 夏帆
これといった特徴なし
前作を見た人にシリーズはこれで完結……と思わせておいて、ほとぼりが冷めたころにまるっと復活。始まる前から見事なトリックを見せてくれた劇場版第3作である。そもそも、確実に儲かるものをやめるなんてこの不況時ありえぬ話。仲間由紀恵&阿部寛の芸達者コンビならば、アラフォー、アラフィフになろうとも、変わらぬ夫婦漫才を見せてくれるに違いない。
とある山奥の過疎村では、村の新しいリーダー"カミハエーリ"を選ぶため、全国から超能力者を集めていた。最強の力を持つものが、代々この村を守ってきたのだ。上田次郎(阿部寛)はそんな風習をやめさせたい村の若者から呼ばれて。山田奈緒子(仲間由紀恵)は単にカミハエーリになって楽な暮らしをしたいがため、偶然にも村で出くわすのだが、そこで大変な事件がおきる。
次期有力カミハエーリ候補に松平健を迎えて、おなじみのコメディミステリが展開する。
どこから見てもいつものTRICKで、劇場版ならではの特徴を感じない。昨日までやっていた連続ドラマの新しい回をみているような気になる。気負いがないといえば言葉はいいが、もう少し意気込みを感じさせてほしい。これでは、運動会のお弁当だから特別だろうと期待してあけたら、のりが二段になっていただけだった、というような切ないショックを受けてしまう。ロケ地や豪華セットなど舞台装置以外の作品本来の魅力。たとえば二人の応酬やけなしあい、そのあたりを豪華版にしていただきたいところだ。
色々と細かいトリック&ねたばらしに面白さはあるものの、今回メインとなるものはミステリファンの間ではアンフェアといわれている伝統的禁じ手。本格作品じゃないし、だからどうこうという話でもないのだが、全体的に早熟感というか即興演奏のような印象を受ける点が気になる。久々の劇場版、もう少し練りこんだ話、トリックを見てみたかったが。
それはコメディ面でも同様で、少々安易な笑いのとり方が目に付く。二人のかけあいのキレもいまいちで、どうも乗り切れない。これでは笑えない。前作はまあまあ良かったが、どうしてしまったものなのか。