『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』65点(100点満点中)
2010年5月1日(土)公開 2010年/日本/カラー/105分/配給:東映
監督:三池崇史 脚本:宮藤官九郎 出演:哀川 翔 仲里依紗 ガダルカナル・タカ 田中直樹

仲里依紗を味わいつくすギャグ映画

哀川翔主演作100本目という事で、Vシネで終わらせず公開してみたところ、そこそこ受けた前作「ゼブラーマン」。そこでこの2作目ではしっかりと予算をつけて、最初から劇場用映画として作った。結果、はるかにまともな作品となり、この2作目から見ても……というよりこれだけ見ておけば十分という出来栄えである。

西暦2025年、新都知事(ガダルカナル・タカ)とその娘ユイ(仲里依紗)が率いるゼブラシティでは、朝夕5分間だけ権力者が自由に人々を射殺していい「ゼブラタイム」の導入により、目覚しい治安維持効果を発揮していた。その路上で目覚めた市川(哀川翔)は、ゼブラーマンだった過去の記憶をすっかり失ったまま、ゼブラシティの陰謀に巻き込まれていく。

のっけからガラガラポンで、前作とは無関係に好きな物を作りますよ宣言である。それは大正解で、宮藤官九郎脚本と三池崇史監督の両個性が不協和音を起こしていた前作とは打って変わり、見事なコラボレーションを見せている。

とくにゆるダルな方向に転がりがちなクドカン脚本を三池監督が適所で引き締め、いい具合のバカ映画にまとまった。これは同監督が「ヤッターマン」の成功で、一般人が引かないバカレベルの限界線をしっかり把握したからではないかという気がする。

じっさい仲里依紗のゼブラクイーンなどは、深田恭子のドロンジョの二番煎じであることは明白。だが、二番だろうが三番だろうが、かわいい女優さんがセクシー衣装でアクションを演じてくれる事に異論などあろうはずがない。

細身に修正しがちなポスターなどのスチル写真とは違い、動画で見るとそのエロさは格別。スウェーデンの血なのか、仲里依紗はウェスト周辺から下半身にかけての肉量がムッチムチの西洋人体型で、腰を振ると尻肉がぷるぷる震えるハイレベルなエロスを体現している。胸もデカけりゃお尻もデカい。軽快に時をかけるのは難しそうだが、ゼブラーマンの宿敵を演じるには十分だ。

彼女周辺の描写は、三池崇史監督の趣味全開というべきねちっこいカメラワークで行われ、観客の期待にしっかりと応える。どこかピュアなイメージのある仲里依紗にとっても新境地であり、これぞウィンウィンの関係であろう。

スーツアクターによる見せ場は相変わらず東映の伝統を生かしたとは言い切れぬ少々不満が残るものだが、前作をみればアクションに期待する人はほとんどいないだろうからさほどの問題でもない。

仲里依紗のセクシー衣装と確信的なおバカギャグ。それだけで十分という意識で望めば、入場料の元は取れるのではないだろうか。



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