『ドゥームズデイ』70点(100点満点中)
Doomsday 2009年9月19日、新宿ミラノほか全国ロードショー 2008年/アメリカ/カラー/105分/提供・配給:プレシディオ、協力:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
監督・脚本:ニール・マーシャル 出演:ローナ・ミトラ ボブ・ホスキンス マルコム・マクダウェル

ノーテンキ世紀末アクション

『ドゥームズデイ』は、モヒカン刈りに肩パットをつけてヒャッハー! の世界をあますところなく映像化した痛快アクション劇である。

ぷんぷんとB級カルトのにおいがするが、製作費は堂々の30億円クラス。ニール・マーシャルという監督は「ディセント」(05年)だの「ドッグ・ソルジャー」(02年)といった、微妙なB級C級娯楽映画が得意な人で、本来1000万円も与えればそれで十分な映画を作る人物。

そんな男に30億円も与えてしまったからさあ大変。バイクの前に妙にリアルなドクロをつけるわ、ハイテク軍隊の最新装甲車をヒャッハー!な男たちがひっくりかえすわ、バカバカしい事ばかりにエネルギーとお金をつぎ込んだ、強烈な一本が誕生した。

2008年のイギリスで、強力なウィルス感染症が発生、英国政府はパンデミック防止のため、発生地のスコットランドを丸ごと高い壁で囲み、完全閉鎖する強硬措置に出た。幸いその方策は功を奏したが、2035年、ついに同ウィルスが塀の外でも発生した。これを受けた政府は最終手段として、塀の内側の生存者から抗体を入手する作戦を発動。最強の女兵士エデン・シンクレア(ローナ・ミトラ)と精鋭たちを、完全武装で送り込んだ。

塀の内側はとっくに全滅しているかと思いきやそんなことはなく、ウィルスで(たぶん)頭をやられたマッドマックスな男女がしっかりと自治していた。半裸のモヒカン男をリーダーに、日夜パンクロックの野外ライブで浮かれ、ドクロバイクや改造カーで無法の限りを尽くす。リアル北斗の拳のごとき世界が広がっていた。

こんな恐ろしいところには1秒たりともとどまりたくないが、われらが世界代表のマッチョ美人ローナ・ミトラは、この無法地帯をまるで恐れない。釘バットや角材のごとき、妙にローテクな武器で突っ込んでくる舌ピアスの男たちを、冷静に射殺、あるいは格闘技で蹴散らしていく。

軍事アクション、格闘スタント、カーチェイス、ゾンビもの等々、雑多な娯楽要素をまとめて詰め込んだ、闇なべ的な面白さが堪能できる。30億円ももらったものだから、監督の好きなグロ描写など、妙に力が入っている。ジャガーとベントレーの英国チックなカーアクションも、車好きには面白い趣向だろう。

美人戦士対ファンキーな無法パンク軍団。どこからみても突っ込み所だらけの楽しい一本。音楽が抜群にいいところも、繰り返し見たくなる魅力だ。こういうノーテンキな娯楽作品、それもしっかり作られたものを新作で見られるなんて、なかなか幸せなことではないか。

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