『ノウイング』60点(100点満点中)
Knowing 2009年7月10日、全国ロードショー 2009年/アメリカ/カラー/121分/共同提供:東宝東和/ポニーキャニオン 配給:東宝東和
監督:アレックス・プロヤス 出演:ニコラス・ケイジ チャンドラー・カンタベリー ローズ・バーン

よりにもよって、こんなトコからやりなおすの?!

学校の子供たちが、成長後に開けるいわゆるタイムカプセル。連中が入れるものといったら、ガラクタだのよげんの書だの、たいていろくでもない物と相場が決まっているが、『ノウイング』に出てくる少女が入れたものは格別だ。なんと将来起きる災害・大事故の類を網羅した、ノストラダムスもびっくりの暗号表だったのだ。

マサチューセッツ工科大学に勤める宇宙物理学者ジョン(ニコラス・ケイジ)の息子(チャンドラー・カンタベリー)が、小学校の記念式典で50年前に埋められたタイムカプセルの中から、一枚の手紙をもってきた。無意味な数字の羅列のように見えるそれは、しかしジョンのインスピレーションを刺激し、隠された予言を彼に伝えることになる。

偶然にも、主人公が天下のMITの教授だったおかげで、やがてとんでもない内容があきらかになる。この前半のテンポよさ、面白さは上々。スケールがどんどん大きくなっていく展開にもワクワクする。

最大の売りである大事故のスペクタクルシーンは、サービス抜群な予告編のおかげで、事前に見てしまった人に大きなガッカリ感、および既視感を与えてくれる。運良く予告編を見ずに本編に挑んだ方には、その心配はない。

それにしても、これを単純なパニック映画として見る(見たい)人にとっては、終盤の異色の展開が許せるかどうかは微妙なところ。

たとえばあの大災害の描写について、注意深い人なら、少々不自然だなと感じるかもしれない。

これについては、天と地の両方から○○が襲いくるという、旧約聖書のある箇所の記述を念頭においたものだろうと私は解釈した。また劇中、エゼキエル書への言及がある点から考えると、この映画におけるニューヨーク、および子供二人は、それぞれ○○を意味する、というわけか。

たぶんに宗教的比喩を含むと思われ、そこから連想していくと、物語のテーマもぼんやりと見えてくる仕組みだ。そのあたりの教養を持つと自負する方にとっては、より楽しめるはず。

一方、人間ドラマとしての見所は、過去の出来事により、定められた運命など信じていなかった主人公が、自らの役割を悟る場面。ニコラス・ケイジの静かな演技が、感動の涙をさそう。

なかなか一筋縄ではいかない内容だが、見て損のない一本だ。



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