『ザ・スピリット』35点(100点満点中)
THE SPIRIT 2009年6月6日(土)より渋谷東急、新宿ミラノ座ほか全国公開決定!! 2008年/アメリカ/カラー/108分/配給:ワーナー・ブラザース映画
監督・脚本:フランク・ミラー 原案:ウィル・アイズナー 出演:ガブリエル・マクト エヴァ・メンデス サラ・ポールソン ダン・ローリア パズ・ベガ ジェイミー・キング
とびきりの美女に囲まれるヒーロー
ロバート・ロドリゲスと共同監督した『シン・シティ』(2005)で、スタイリッシュな映像が好評価を得たフランク・ミラーは、初の単独監督作品であるこの『ザ・スピリット』でも、同様の絵作りを踏襲。彩度を落とした画面に印象的なパートカラーを配置する、独特の映像美は健在だ。
殉職しながらも蘇った刑事コルト(ガブリエル・マクト)。彼は愛する街のため、覆面ヒーロー「スピリット」として、同様の不死身能力を持つ宿敵オクトパス(サミュエル・L・ジャクソン)と日夜戦っていた。オクトパスは、何らかの目的のため海底から引き上げたアイテムを探していたが、そのひとつはコルト旧知の女泥棒サンド・サレフ(エヴァ・メンデス)の手にあった。
アメコミ、グラフィックノベル映画はたいてい好みが分かれるが、これも相当なアクの強さ。日本では、原作を読んだ人があまりいないであろう点からも、積極的にはすすめにくい。
とはいえ、コミックス界の巨匠ウィル・アイズナーの代表作の映画化とあって、キャストは豪華絢爛だ。とくにこの主人公はモテモテなヒーローで、取り巻く女性キャラは美女揃い。
まずはお色気担当のメインヒロイン、エヴァ・メンデス。ほくろがチャームポイントの整った顔と、それ以上に整ったプロポーションは、おそらく全世界の35歳女性の中でも一、二を争うものであろう。本作ではその美貌と肢体を、十分に堪能できる。
次に、オクトパスの腹心を演じるスカーレット・ヨハンソン。大きなメガネに深い胸の谷間を露出し、若いオンナの美しさでエヴァさんに対抗する。外道赤ちゃんのようにまぶしい笑顔が特徴のクローン部下に対する、サディスティックな態度が魅力的だ。
なにしろ、本作撮影中にサミュエル・L・ジャクソンから風邪を移され、かんだ鼻紙がオークションにかけられたというのだから、相変わらず凄い人気である。彼女の風邪をいただけるのだから、きっと安い買い物であろう。
この二人に囲まれては、主人公の恋人的存在を演じるサラ・ポールソンもさすがに影が薄いか。
主人公は、究極の街フェチとでもいうべき愛情、執着を故郷に向けている。自分でもわからぬうちに身に着けた不死身の力で、体を張って"彼女"を悪から守っている。そして、"街"が相手では、さしもの美女たちも分が悪い。
対するオクトパスも不死身能力は同じ。すなわち、二人が殺しあっても明日には復活。やぎさんゆうびんの歌のように、彼らの戦いに終わりはない。
最強の死にぞこないヒーローは、すなわち最強の愛国者。決して折れないその心でもって、わが町への思いを遂げられるのか。