『ピューと吹く!ジャガー 〜いま、吹きにゆきます〜』65点(100点満点中)
2009年1月1日(元旦・祝)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて先行公開! 1月10日(土)より、TOHOシネマズ系にて全国ロードショー!! 2008年/日本/カラー/78分+『エト』21分/配給:DLE
監督・脚本・キャラクターデザイン:FROGMAN 原作:うすた京介 声の出演:藤原啓治、金丸淳一、真木よう子、板東英二
09年初笑いはうすた京介の代表作アニメで
元旦に公開される映画はかなり珍しいが、『ピューと吹く!ジャガー 〜いま、吹きにゆきます〜』に関しては、この日がもっともふさわしいように思える。とくに理由はない。
フリーマーケットでピヨ彦(声:金丸淳一)がたまたま買った笛のネックレスは、異世界の扉を開く鍵だった。そこから出てきた謎の王女(声:真木よう子)と奇跡的な対話を成功させたピヨ彦は、いつの間にやら王女の探し物を手伝う羽目になっていた。気づくとジャガー(声:藤原啓治)らいつものメンバーも背後に集まっており同行することに。そんな彼らに、王女らを狙う闇世界の住人が襲い掛かる。
不条理マンガの雄、うすた京介の人気コミックを、Flashアニメ出身のFROGMAN監督がアニメ化。一見テキトーに見える絵柄ながら、高度な不条理ギャグを繰り出す原作の雰囲気をつかんだ映画作品となっている。
のっけからエンジン全開のギャグ連発だが、基本的にはジャガーのボケとピヨ彦のツッコミで進行し、テンポがよい。常識はずれのボケっぷりも、突っ込みのタイミングも絶妙。たぶん一人で映画館に見に行っていたとしても、私は大笑いしていただろうと思う。初笑いにピッタリな一品だ。
声優はみないい味を出しているが、とくにピヨ彦役・金丸淳一の熟練した演技が光る。また、真木よう子の異様にクールな声質も王女様のに役柄ピッタリ。
タイトルからも想像できるとおり、ストーリーは連載している少年ジャンプの3大テーマ「友情」「努力」「勝利」をはじめ、様々なパロディを隠し味として利かせている。
正月ボケが覚めやらぬこの時期、翌日休みの週末に酒でも飲みながら見たら、このノーテンキさを存分に楽しめるのではと思う。
なお同じ作者の短編『エト』が21分間のショートアニメとして併映される。こちらは任務と友情の狭間で悩む宇宙人が主人公のハートウォーミングストーリーで、"完全版"と銘打ってはいるものの、さほど特筆すべき点はなし。