『制服サバイガール I』40点(100点満点中)
2008年12月6日(土)より、キネカ大森にて限定ロードショー 2008年/日本/カラー/78分/配給:アートポート
監督・脚本:金子大志 特殊造型監修:西村喜廣 出演:飛鳥凛、有末麻祐子、紗綾、鹿谷弥生、秦みずほ、小林万桜、仲村みう

女子高生6人が、いかれたオヤジたちをなぎ倒す

公式サイトの解説によると、「制服を着た少女が強敵に立ち向かう映画は、日本文化の代表」らしい。つまり本作は、世界に冠たるニッポンカルチャーの申し子。我々は誇りを持って、この作品を世界に広めていかねばならない。

17歳の女子高生さくら(飛鳥凛)は、友人の葵(仲村みう)の叔父が経営するテーマパーク「サバイバルランド」へ仲間6人と遊びに行く。パーク側が用意した敵役たちを撃ちまくってストレス解消するサバイバルゲームがウリだったが、敵の一人が突然豹変。本物の武器を持ち彼女たちに襲い掛かってくるのだった。

世界中に広めるべき本作が、キネカ大森の2週間単館ロードショーとは痛感の思いだが、映画は最初から笑わせてくれる。

ロケ費用の節約のためか、女子高生たちがダベるのは森の中。えらく険しい通学路というほかないが、彼女らが突如思いついて出かけるテーマパークの立地がまたすごい。

森の奥深く、けもの道を汗だくになって徒歩で分け入ると、まるで樹海のど真ん中のような場所にいきなり入り口が現れる。

どんだけアクセス悪いんだよとか、家族連れはどうやってたどり着けばいいのかとか、そもそもビジネスモデルとして成り立つのか等々、のっけから魅力的な謎の数々が観客に提示される。ちなみに解答の方は永遠に提示されない。

内部の様子は、金子大志監督(『クレーマー case1』(08))の編集テクが冴え渡り、到底森の中とは思えぬ広大な平地に、時代劇風のセットが組まれている。

敵役はガンマン、サムライ剣士、忍者の3人の精鋭たち。この広い敷地内で、お客さんたちは電子銃を持ち、彼らを追いかけ撃ちまくるというルールらしい。3人は決して反撃してはならず、逃げるだけという決め事もある。

いったいどこの物好きがそんな意味不明なサバイバルゲームをやりたがるのかは不明だが、やがて3人はゾンビ化。セーラー服姿の女子高生を襲いまくる。

とはいえこれは制服フェチものなので、お色気はほぼなし。フェチに裸は不要なのだ。

女の子たちはみな若くてはつらつとしたアイドルだが、もちろん演技力はゼロだ。一人一人のルックスもあまり冴えないが、その分、数でカバーするという中国人民解放軍なみの高等戦略を採用する。

特筆すべきはゾンビ化した理由で、なんと近くで行われていた遺伝子組み換え作物の栽培が原因だと、映画の冒頭で示される。『制服サバイガール』は、タイムリーな社会派ムービーでもあったのだ。関連する消費者団体の皆さんは、これを各所のGMO勉強会にて上映してみてはどうだろう。

エンドロールの最後には、パート2につながる重要なシーンが残されている。……といっても、そのパート2は本作上映後、同じ映画館で同じ日に続けて回されるから、見逃すことは無いはずだ。



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