『D-WARS ディー・ウォーズ』30点(100点満点中)
D-War 2008年11月29日(土)より、有楽町スバル座他全国ロードショー 2007年/韓国/カラー/90分/配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、ネオ
監督・脚本・製作総指揮:シム・ヒョンレ 出演:ジェイソン・ベア、アマンダ・ブルックス、ロバート・フォスター、クリス・マルケイ

韓国映画界が本気で米市場に挑んだ怪獣パニック大作

この年公開される韓国映画の中で、もっとも注目すべきはこの『D-WARS ディー・ウォーズ』であろう。

35億円以上ともいわれる韓国映画史上最大の製作費、本国での歴史的大ヒット、米国公開時における常軌を逸した宣伝攻勢と、話題には事欠かない。さすがの米国人もそのあまりの押し付けがましさにあきれ果てたという、ある意味韓国らしい押しの強い一本といえる。

ロサンゼルスに異変が起きている。レポーターのイーサン(ジェイソン・ベア)は、災害現場に落ちていたある物を見て、そう感じた。鍵となるのは少年時代、彼が古美術店主から聞いた伝説。「500年に一度現れる運命の女性をめぐり争いが勃発、人類は滅亡の危機に陥る」。やがてイーサンとLA市民の前に、その言い伝え通り、巨大な怪獣が現れる。

スタッフがもっとも力を入れたCG、VFXがすばらしい。家にハリウッド版『GODZILLA』がある人は、なぜ自分のDVDが映画館でかかっているのか不思議に思うかもしれないが、それ以外の人にとっては目を見張る都市戦闘シーンの連続である。

そう、『D-WARS ディー・ウォーズ』最大のセールスポイントは、凶悪な怪獣軍団と、人類最後の希望こと世界の警察=アメリカ軍のガチンコバトルだ。

どうして韓国が米軍バンザイ映画を作ってるのか知らないが、白人俳優をズラリと揃え、物語もすべて英語で進行。民族的プライドをかなぐり捨て、本気で北米市場に殴り込みをかけてきた。

なりふりかまわぬその必死さは、実のところ痛々しいが、その甲斐あってか全米2275館で公開という、とてつもない記録を打ち立てた。ただ、その大規模公開でいくら稼いだかは、気の毒だから記さないでおこう。

『D-WARS ディー・ウォーズ』に出てくるアメリカ軍は、世界一の装甲を誇るエイブラムス戦車の前に軽装の歩兵をズラリ並べるという、朝鮮戦争時の人民解放軍もビックリの斬新な戦法を採る。

だが、屈強な米兵たちの体を張った防御もむなしく、虎の子の戦車軍団は次々とやられていく。やわらか戦車も真っ青のかませ犬っぷりで、これではラレコ先生もがっかりだ。

だいたい彼らときたら、親切なことに横長画面にきっちり両軍が収まるまで怪獣軍団をひきつけてから集中砲火を浴びせている。エイブラムス戦車の120mm滑腔砲や、戦闘ヘリ・アパッチの有効射程距離が10メートルだったとは、私はこの映画で初めて知った。目と鼻の先まで近づいてもまだ撃たないので、武器の類をお持ちでないのかと、一瞬本気で心配になったほどだ。

そんなわけで、映画において脚本や演出が足元、つまり土台とするならば、本作はきわめていびつな仕上がり。

たとえるなら、ゼニアの高級生地であしらえたスーツに、ドンキホーテで買った280円のサンダルを合わせてデートに着ていくようなもの。いやに目を引くが、決して素敵ではない。

むしろ、そのギャップというか、作り手の必死さ、しかし追いついていない気の毒さを見守るような、そんな楽しみ方をすべき一本といえる。もっとも、それ以外の期待を本作にするような人が、どれほどいるかは不明だが。

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