『レッドクリフ Part I』40点(100点満点中)
Red Cliff 2008年11月1日(土)より、日劇1ほか全国ロードショー 2008年/日本・中国/カラー/145分/配給:東宝東和、エイベックス・エンタテインメント
監督・脚本:ジョン・ウー アクション監督:コリー・ユン 音楽:岩代太郎 出演:トニー・レオン、金城武、チャン・フォンイー、チャン・チェン、ヴィッキー・チャオ、中村獅童

アジアの大スターを集めた三国志の実写化大作

『レッドクリフ Part I』は、エイベックス・エンタテインメントが社運をかけた大作ということで、際立ってメディア露出が目立つ話題作である。それはもはや、これがコケたら一大事、という焦燥感を感じさせるほどだ。

西暦208年の中国大陸。群雄割拠のこの時代。最強を誇る曹操(チャン・フォンイー)軍の前に、劉備(ユウ・ヨン)軍は壊滅寸前の打撃を受けた。軍師の孔明(金城武)は、自ら孫権(チャン・チェン)陣営へと向かい、孫権の信頼厚い司令官・周瑜(トニー・レオン)と交渉を進めていく。

三国志最大の見せ場、赤壁の戦いをアジアンスター総出演で実写化したものだが、肝心の戦いが始まる前に映画は終わる。「一番いいところは後半でネ!(はーと)」というわけだ。試写でクレームが続出したのか、途中からタイトルに「Part I」をついたようだが、鑑賞時には注意が必要である。

とはいえ、さすがにこれだけのメンツが揃っただけあり、また伝統の原作ものということで群像劇としては退屈しない。中村獅童の歌舞伎面や、金城武の飄々とした孔明ぶりは、結構面白いものがある。

もっとも、中途半端な様式美というか、肝心のアクションはちょいとマヌケさ漂う内容。槍でパシパシ相手を叩くエキストラ戦士をみて、ゴキブリ退治じゃねぇんだからと突っ込みたくなる人は多いだろう。

劉備軍は孔明率いる精鋭軍団だから、さぞクレバーな戦術を見せてくれるのだろうと思いきや、実際は趙雲や関羽、張飛といった「強ェヤツらに丸投げ戦法」ばかりで苦笑した。「チョーヒさん、あいつらハンパなくツエーですよ、シメてくださいよ」の世界だ。これでは猛将ではなく猛兵である。

曹操は好きな女に似た女とイメクラ遊びにふけるチョイキモだし、肝心の劉備は草履を編んでばかりいるし、孔明は冗談みたいな戦法ばかり進言するし、見ていて実にハラハラできる、きわめてサスペンスフルな三国志である。たとえレッドクリフ=赤壁の戦いが見られずとも、私は大いに満足した。ただし、原作ファンが喜ぶかどうかについては、一切保証しない。

監督がジョン・ウーということで、完全にエンタテイメントに徹した一本。見る人および期待のスタンスを間違えると地雷になるので、お気をつけのほどを。

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