『宿命』20点(100点満点中)
2008年10月4日、シネマート新宿他にて全国ロードショー 2008年/韓国/カラー/123分/配給:SPO、フォーミュラエンタテインメント
監督・脚本:キム・へゴン 出演:ソン・スンホン、クォン・サンウ、チソン(友情出演)、キム・イングォン、パク・ハンビョル

クォン・サンウ&ソン・スンホンが共演するクライムアクション

兵役逃れがバレ、入隊していたソン・スンホンの除隊後復帰作。そして、韓流大スターで涙の帝王ことクォン・サンウが初の悪役に挑戦。『宿命』はなかなかの話題作であったが、韓国ではイマイチとの評価であった。

裏社会に疲れ、足を洗おうとしているウミン(ソン・スンホン)は、そのための金をカジノ強奪で得ようとしていた。兄貴分のガンソプ(アン・ネサン)の指揮のもと、計画は成功したかに見えたが、親友と信じていたチョルジュン(クォン・サンウ)の裏切りで事態は最悪の展開へと転がっていく。

かつての仲間が敵味方に分かれ、悲しい宿命に身を落としていく話。ヤクザの内輪もめを描いた犯罪ドラマだ。

見ていてよくわからないのだが、この映画に出てくるマフィア、ヤクザ連中はなぜか銃のたぐいを使わない。戦うときは、棒っきれと鉄パイプが基本。恐怖の最終兵器としてナイフが出てくる程度である。千葉のヤンキーが関東制覇する話じゃないんだから、どうにかならなかったものか。

その棒も、相手を叩くたびになんだかフニャフニャしているように見え、私はしばらくこれがコメディなのか真面目なドラマなのか、真意を図りかねたほどであった。

そもそも、最初のカジノ強奪の場面からしておかしい。仲間の組織の運営だというのに、主人公ら数名は、顔面丸出しのまま正面から突入。全員で派手な立ち回りを演じながら、金庫室に一丸となって向かう知性ゼロの作戦。逃げも隠れもせぬハンパネェ戦いぶりは、やはり松戸あたりのコンビニ前におけるツッパリの喧嘩を髣髴とさせる。

おまけにカジノには、彼らを迎え撃つ大人数の鉄パイプ部隊がおり、次から次へと棒っきれをもって沸いて出てくる。このカジノには、鉄パイプをそろえた武器庫でも準備してあったのかと、余計なことばかり考えて私はスクリーンに集中できなかった。

それにしてもこの映画、韓国の悪評を受けて危機感を感じたか、日本の配給会社も様々な手を打っている。

たとえば日本公開版は韓国のそれと比べ、なんと劇中で使われる音楽が違う。エンドロールに流れる曲が日本語のタイアップ曲になるパターンはよくあるが、劇伴音楽まで差し替えるのは異例。韓国映画というのにGLAYの日本語ロックが挿入され、素敵な話題性とさわやかな違和感を提供している。

だいたい兵役逃れのソン・スンホンもだが、クォン・サンウのイメージがあまりに良くない。「収益をすべて寄付する」とぶちあげ、埼玉のドーム球場に日本の奥様をたくさん集め、盛大にチャリティーイベントを開いたはいいが、後日「収益が出なかったので寄付もしません」などと、冗談としか思えぬコメントを寄せた事件は記憶に新しい。

それでもこうして主演映画が熱望され、みごと全国公開されるのだから、韓流好きの日本の女の子がいかに一途かを物語る美談ではあるまいか。きっと彼女たちがたくさん映画館に押しよせ、彼にも莫大なギャラが入ることだろう。その際は、少しでいいから今度こそどこかに寄付していただければ幸いである。

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