『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』75点(100点満点中)
Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull 2008年6月21日(土)全国超拡大ロードショー 2008年/アメリカ/カラー/124分/配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
監督:スティーブン・スピルバーグ 製作総指揮: ジョージ・ルーカス、キャスリーン・ケネディ 音楽:ジョン・ウィリアムズ キャスト:ハリソン・フォード、ケイト・キャプショー、シャイア・ラブーフ

ロッキー、ランボーに続き、インディ・ジョーンズも復活

ハリウッドでは、ご存知のとおり一年の間に数え切れないほどの話題作が生み出されている。その中でも、この年一番期待された超ド級の注目株がこれ。"パートタイム考古学者"『インディ・ジョーンズ』19年ぶりの最新作だ。

舞台は1957年のアメリカ、砂漠の中の広大な空軍基地。ソ連の女諜報員(ケイト・ブランシェット)率いる一団は、インディアナ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)を脅して第51番倉庫に侵入、目当ての荷物へと誘導させる。彼女らは、大きな力を秘める水晶髑髏=クリスタル・スカルを探しているのだった。

19年ぶりの新作ということだが、劇中でも前作「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」のラストから同期間経ったという設定。かつてインディとかかわった人物たちのその後についても、チラリと触れられ郷愁を誘う。

そんなシーンが出てくるたびに、「ああ、これはまごうかたなきインディ・ジョーンズだ」と感激の思い。映画館でジョン・ウィリアムズのテーマ曲が聞けるだけで、オールドファンの心は踊るというもの。下手なアレンジが加えられていないところがまた良い。

内容はおなじみの冒険活劇で、CG全盛の今でもそれに頼ることなく、手作り感あふれるアドベンチャーシーンが作られている。見た目の印象は、シリーズ通して何も変わらない。それが一番観客を喜ばせるということを、この作り手は誰よりも良く知っている。

そのスティーヴン・スピルバーグ監督は、かつてスター・ウォーズ公開前でナイーブになって逃げてきたジョージ・ルーカスとリゾート地で偶然出会ったという。そこで彼からこのシリーズの構想を聞かされ盛り上がり、その勢いで一作目を作り上げた。もちろんこの第4作目でもコンビは健在だ。

いや、正確にはトリオというべきか。主演のハリソン・フォードが、アクションシーンをはじめインディのキャラ作りに現場で多くのアイデアを出した話は有名。とっくに60を超えた身体ながら、本作でも衰えはまったく感じさせない。顔が老けたとか言う人もいるが、そんなことは何の問題でもない。重要なのは、そのキャラクターの動き、存在に説得力があるかどうかで、その点で彼は100点満点の演技をした。ヒーローはヒーローのままであり、その意味で私は今回のラストシーンに快哉を叫んだ。作り手の狙い通りの反応だろうが、心地よく酔わせていただき感謝している。

スピルバーグ監督の演出は冴え渡り、随所に憎いほどの工夫が凝らされているのが見て取れる。アクションの流れを横から縦に急転換する倉庫内でのチェイスなどは通好みで、大いに唸らされる。この天才監督は、あえていま低予算でアクション映画を撮らせたとしても、軽々と傑作をものにするのではないか。そう思わせるほど数多くのアイデアが散見される。

そんなわけで、各個の見せ場は文句なし。驚きとスリルに満ちたものばかりだ。

だが、その良さはあくまで個別に存在しているという印象で、すべてが綺麗につながったときに感じる満足感はさほどではない。あえていうならば、年寄りレスラーのプロレス。それぞれの技の切れやタイミングは最高だが、繋げて試合を「物語」にするだけのスタミナがない。

題材のトンデモ度はシリーズ屈指で、タイトルの水晶ドクロ(ちなみに実在する。人の手で同様の加工をするには数百年かかると言う説が、オーパーツ好きを喜ばせている)はもちろん、細かく語らないがまるでスピルバーグ映画の集大成のごとき様相を呈している。19年ぶりなのだから、これくらい大風呂敷を広げていただいてもちろん結構。なにしろそれをちゃんとインディ・ジョーンズの世界観の中でまとめているのだから恐れ入る。

アクションシーンも盛りだくさんで、原爆避けや大滝下り等々、そのままディズニー・シーやらランドで使えそうなものばかり。もっとも、いまどきの子供たちは『インディ・ジョーンズ』じたい、ディズニーランドのアトラクションの映画化だと思っているかも知れないが。

インディ・ジョーンズ アドベンチャー・コレクション (期間限定生産)
やはり出るのね、こういうセット。
メイキング・オブ・インディ・ジョーンズ -全映画の知られざる舞台裏- (LUCAS BOOKS)
シリーズ唯一のメイキング・ブックということで、ファン必見か。


連絡は前田有一(webmaster@maeda-y.com 映画批評家)まで
©2003 by Yuichi Maeda. All rights reserved.