『紀元前1万年』65点(100点満点中)
10,000 B.C. 2008年4月26日より丸の内ピカデリー1他全国ロードショー 2008年/アメリカ/カラー/109分/配給:ワーナー・ブラザース

マンモスと人が共存した時代のアドベンチャー

バイオリズムがマゾ期に突入しているアメリカ映画界は、愛国プロパガンダの雄ローランド・エメリッヒ監督にさえ、古代アドベンチャーの形を借りて反省ゴメンナサイ映画を作らせるほど絶好調である。

紀元前一万年、場所は地上のどこか。年に一度のマンモス大移動の際、一頭だけ狩り日々の糧とする平和な種族がいた。その若きリーダー、デレー(スティーヴン・ストレイト)は、ある日騎馬兵たちに集落を襲われ、愛する新妻(カミーラ・ベル)を仲間たちの身柄と共に奪われてしまう。デレーたちより進んだ文明を持つ騎馬軍団は、はるか離れた土地にこうした奴隷を集め、巨大ピラミッドを建築しているのだった。

いたいけな人民が力をあわせて立ち上がり、無法な権力者に怒りの鉄槌を食らわせる。『スターゲイト』(94)、『インデペンデンス・デイ』(96)でおなじみローランド・エメリッヒ得意の人民革命ムービーである。

これが昔から良作を生み出す娯楽映画の伝統的テンプレートであることは、映画ファンには言うまでもないだろう。とくに『紀元前1万年』は時代が時代だけに、現代の戦争のように大勢が死ぬこともなく、ジェット速度のハイスピードで展開することもない。のんびり徒歩で歩みながら、観客はじっくりこの世界を楽しむことができる。

できのいい特撮によるサーベルタイガーやマンモス、そして建築中のピラミッドも超リアル。子供たちにもOKの、スローライフアドベンチャーだ。

むろん、文献や映像資料など皆無の時代だから、ただでさえ大味なエメリッヒ作品の中でもやりたい放題。場所はどう見てもアフリカなのに登場人物が英語をしゃべっていたり、西海岸風の美少女カミーラ・ベルがドレッドヘアに碧眼でヒロインをやっているが突っ込み厳禁。ただし敵の大ボスの驚愕?の正体だけは、昨今のアメリカ反省ザル映画連発の流れの中で見ると、偶然とは思いにくい含みを感じる。

王道ど真ん中、ツボをはずさぬエンタテイメントなので、連休にはちょうど良い。ファミリーでも若いカップルでも、好きなように利用すると良いだろう。

マンモスとなぞの原始人
私なんかが小さいころは、マンモスは寒いところに住んでいたとか、あの厚い毛皮が寒さに強い証拠だとかいわれてました。巨大恐竜は爬虫類で、尻尾をひきずってのろのろ歩いていたとかね。今考えるとギャグですな。
インデペンデンス・デイ (UMD Video)
激安廉価版。ドイツ人監督が特攻隊を描いていたのには苦笑(いや名場面ですが)。UFOファン必見。


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