『銀幕版 スシ王子! 〜ニューヨークへ行く〜』20点(100点満点中)
2008年4月19日(土)、サロンパス ルーブル丸の内他 全国ロードショー 2008年/日本/114分/配給:ワーナー・ブラザース映画

堂本光一が好演「お前なんか、握ってやる!」

当初から映画版の製作を考え、ドラマ版の内容とも密接な関係を持つ『銀幕版 スシ王子!』。テレビドラマの映画化は数あれど、本作ほど「一見さんお断り」な作品はほかにない。

師匠・武留守リリー(石原さとみ)に従い、ニューヨークにやってきたスシ王子こと米寿司(まいずつかさ)(堂本光一)。なんとか目的の八十八寿司にたどり着くが、シャリの名人と謳われる店の親方・俵源五郎(北大路欣也)は女用心棒(釈由美子)を雇い、店の乗っ取りを企む地元マフィア一味と必死の攻防を繰り広げていた。

映画やドラマに限らず寿司ものは人気がある。そんな中にあって『スシ王子!』は、グルメ要素よりも堤幸彦監督(「自虐の詩」(07)、「トリック 劇場版2」(06))による笑いが主たる見所のコメディー作品。この劇場版も、彼の監督作品の中でも相当におバカ度の高いギャグが炸裂する。

そのテンションの高さについていくのは、ドラマ版未鑑賞の方にはほとんど不可能。前座ぬきでお笑いライブを楽しむ以上に困難だ。しかしその肝心のTVドラマ版は視聴率ヒトケタであり、決して成功したとはいえない。とすると、事実上ごく狭い対象を相手にした本作のような映画が、あたかもゴールデンウィークの目玉のように思われてしまうのは、たいへん危険である。

アクション担当の釈由美子は、毎度おなじみの演技ながらそこそこに見せるし、北大路欣也の意外と似合うお笑いパートも悪くない。主演の堂本光一に至っては、その上手さに無条件に拍手したい。こんなにバカバカしいキャラクターを、見ている側に恥ずかしい思いをさせず演じられる役者はそうそういないだろう。ぶっちゃけていえば監督のギャグは下手だが、彼が上手いからなんとか少しだけ笑える。

完全に内輪同士の世界で完結する内容であるから、ドラマと堂本ファンがどれだけ映画館に行くかがすべて。それ以外の方は、入場料分のお金で駅前の回転寿司でも食べていたほうが幸せになれる。



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