『ブラブラバンバン』55点(100点満点中)
2008年3月15日より渋谷Q-AXシネマほか全国ロードショー 2007年/日本/93分/配給:トルネードフィルム
安良城紅が、音楽に発情する女子高生を好演
『ブラブラバンバン』は、(俳優でなく)歌手の
県立高校生の
良い音楽には人並みはずれて興奮(発情?)し、思わず脱いだり脱がしたりする特異体質の女子高生。そんな不思議なヒロインを中心にした、一風変わった青春ブラスバンド映画だ。
ブラスバンド部の面々は、彼女の特異体質が本当か知るために、わざとコンサートでエッチなムードの曲を演奏したみたりする。このあたりは奇抜な展開だが、終わってみればごく普通の学園ムービーであった。
ファンタジックな冒頭の出来事や、出演者一同のわざと棒読みにしているかのような台詞(本当に故意にやっていると思っていた)、さらには本作が柏木ハルコ原作ものだと聞いていたので、もっとシュールな内容かと考えていただけにこれは意外。
この映画で一番注目されるのは安良城紅だが、これは適役であった。
日本人離れしたハーフならではのはっきりした目鼻立ちと、やけにデカい胸。柏木ハルコ漫画特有の、生々しいエロティックなキャラクターにぴったりなルックスはもちろん、群を抜く存在感を示す声質は映画メディアに最適。
当然、最大の見所はラストのブラスバンド演奏で、ここで指揮棒を振る彼女の動き、自然に口ずさむメロディ、どちらもえらい迫力だ。まるで彼女自身が音楽になっているかのようで、思わず"開放"の二文字が頭に浮かんだ。
個人的には、一瞬で着ているドレスが脱げ落ち一糸まとわぬ姿になってしまうセクシーな場面も捨てがたいが、やはりこのクライマックスこそ、本作の注目点となろう。
ここでは、8人編成の小さなブラスバンドで演奏する形になっているが、映画的演出でその演奏は途中から大編成のそれに変わる。そのダイナミックな変遷には凄みを感じさせる。
ほかの出演者には、近野成美、徳永えり、そして南明奈と当代きっての美少女揃い。たいへん目の保養になる。
美しいボレロの旋律は、ブラスバンドで演奏されると不思議と懐かしさを感じる。音楽に打ちこんだ青春を持つあなたに、ぜひ見てほしいと思う。