『俺たちフィギュアスケーター』70点(100点満点中)
Blades of Glory 2007年12月22日 渋谷シネマGAGA!、なんばパークスシネマ他全国順次ロードショー 2007年/アメリカ/1時間33分/配給:ギャガ・コミュニケーションズ

キモい男二人がフィギュアスケートでペアを組む?!

アイデアを聞いただけで「これは見たい」と思わせる映画がある。飲み屋で思いついてメモ用紙になぐり書きした企画書が、一発で通ってしまうようなパターンだ。『俺たちフィギュアスケーター』は、(企画書がペラ紙一枚だったかは知らないが)その典型例。

フィギュアスケート男子シングルで、常にトップ争いをしているチャズ(ウィル・フェレル)とジミー(ジョン・ヘダー)。実力は拮抗するも犬猿の仲の二人は、同点優勝の表彰式で乱闘騒ぎを起こしてしまう。事態を重く見たアメリカフィギュア界は二人を永久追放。しかし彼らは規約の穴を見つけ、シングルでなくペア部門でカムバックする。

男同士のペアでフィギュアスケートの頂点を目指すスポーツコメディー。なぜキモい男ペアかという理由付けも、なかなか説得力があって良い。実力は十分なれど、はたして二人は優勝できるのか?!

童貞イケメン&エロ腰使いのプロという、対照的な二人。仲は悪く、息はまるで合わない。しかし、血と汗の特訓と、なぜか北朝鮮が絡んだ究極の大技(超絶ブラックネタ)で大会に挑む。

この役を演じるにあたり、フィギュアの特訓をしたという二人は、しかし今にも止まりそうなスケーティングに緩んだ体型と、見た目だけでも笑いを誘う。とくにウィル・フェレルは、日本では米国コメディーが公開されにくい事情もあって無名だが、あちらでは大人気のコメディアン(お下劣系)。下品なギャグの連発で、腹筋の弱い人は痙攣必至だ。

彼の知名度もあってか、本物のプロスケーターたちも全面協力。ナンシー・ケリガン、ミシェル・クワンら新旧有名選手がときには自ら出演する。……が、その扱いたるやケチョンケチョン。とくに現役トップ選手のサーシャ・コーエンの名演技(?)にはびっくり。ファン百年の恋も一瞬で冷めるであろう。

期待通りの下ネタではじまり、ブラックジョークで引かせ、最後は感動の涙……など無く、そのまま終わる。よくビデオスルーでなく、劇場公開になったと感心するバカ映画だ。シャレのわかる人にはたまらない、大人限定のコメディー映画。おすすめだ。



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