『光の六つのしるし』30点(100点満点中)
The Dark Is Rising 2007年12月22日(土)より、有楽町スバル座ほかロードショー 2007年/アメリカ映画/1時間39分/配給:20世紀フォックス映画

スケール感がなさすぎる失敗ファンタジー

ファンタジーとは、いかに魅力的な世界観を見せるかが最大のキモだ。しかし映画『光の六つのしるし』は、その点で大失敗している。

ミス・グレイソーンとその執事メリマンからパーティーに招かれた14歳のウィル(アレクサンダー・ルドウィグ)。彼はその帰り道、黒装束の騎士に襲われ、「しるしをよこせ」などと覚えのない問いを受ける。すんでのところでミス・グレイソーンらに救われたウィルは、自分が"最後の古老"であり、闇の勢力から人類を守る役目を持って生まれてきた救世主だと聞かされる。

イギリス・バッキンガムシャーから始まるこの物語は、全部集めればパワーアップ出来る無敵のアイテム『光の六つのしるし』を探し求めて、あらゆる時代と場所を行き来する。初々しい思春期の少年を主人公にした、定番のファンタジーアドベンチャーだ。

だがこれ、短い上映時間に色々と詰め込みすぎ。結果、話を語るのに大忙しで、味わい深い物語世界を作り損ねた失敗作となった。

だいたい、ドラゴンボール6つをたった100分間で見つけるという時点でアウツ、だ。3つくらいならともかく、6つは多すぎる。しかもそこまでの導入部が長いから、よけいに窮屈。伝説のアイテムといいながら、次々と勝手にアチラからやってくる感じで、まったくありがたみがない。

一方『ロード・オブ・ザ・リング』などは、ちっぽけな指輪ひとつ捨てに行くだけなのに、3時間の映画を3作も作った。くらべるのは酷かもしれないが、これでは世界観を築く暇もない。

敵陣営もじつに貧弱。地上を滅ぼすとかなんとかデカい口をたたくくせに、その戦力は黒服を着たカウボーイとカラスと犬だけ。おまえは桃太郎か。

時空を超えたファンタジーとの触れ込みは勇ましいが、実際のところスケールが小さすぎて物足りない。それをごまかすべく、やたらと望遠レンズを使ったり逆さに構えたりと、カメラを動かしまくっているが、そうした小細工ではどうにもならない。

もっと身の丈にあった内容にするなり、やりようはあったと思うのだが。

闇の戦い〈1〉光の六つのしるし (fantasy classics―闇の戦い)
原作のシリーズ第1巻。


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