『マリッジリング』55点(100点満点中)
2007年12月8日、銀座シネパトスほか全国順次ロードショー 2007年/日本/99分/配給:アートポート

「こんな子がホントに脱ぐの?」

職業柄、この手のエロティック作品にx麻痺している身としては、いまさら見たところで何の刺激も感じないのが普通。しかし『マリッジリング』は違った。それは本作のヒロイン、小橋めぐみのせいだ。

25歳のOL千波(小橋めぐみ)は、多忙な恋人とすれ違いの日々に寂しさが募っている。そんなある日、新任課長の桑村(保阪尚希)から残業帰りに食事に誘われる。おしゃれなレストランにエスコートされ、久々に女を意識した千波は、桑村のマリッジリングに罪悪感を覚えながらも、強く惹かれていくのだった。

原作は渡辺淳一の短編。エッチな小説ばかり書いていると思われている渡辺淳一だが、元は医学博士として医療ものも書いていた。しかし映画化されるのはやっぱりエロばかり。本作でもバッチリ、期待にこたえてくれる。

さて、スクリーンに小橋めぐみが登場したとたん、私は大いにびっくりした。それは「こんな子がホントに脱ぐの?」という、まるで中学生が始めてAVのジャケット写真(着衣)を見たときのような素朴な驚きである。もはやたいていの裸ではピクリとも反応しない、私ほどの男に、長らく忘れていたその感情を呼び起こさせたこの女優はすごい。

だが考えてみれば、男心をもっとも揺るがす"驚き"とはまさにこの「こんな子がホントに脱ぐの?」であろう。こうしたエロティックドラマにおいて、そんな風に感じさせるだけの清純派女優がまだこの日本に生息していたことに、私は強く感動した。

小橋めぐみは目がくりくりとして、大画面で映えるタイプのかわいい女性だ。この魅力を七里圭監督(犬と歩けば チロリとタムラ (04年)など)もよくわかっているようで、濡れ場の構成がうまい。まずはうなじなど刺激の少ない部分から露出させ、次はいよいよ胸。「おわー、ままま、マジでハダカになったよ!」「もっともっと下も!」と観客が思ったところで徐々にカメラを下げていき……といった按配。

そしてその直後、相手役の彼氏が突然ED。疲れたから今日はいいや、などという。こんな中断の仕方をされたら、全観客が「この男は駄目だ」と嫌になる。そして、浮気相手となる保阪尚希に期待=感情移入するわけである。エロ映画の演出を、実によくわかった監督だ。

その浮気にしても、妙にリアルな演出。初ホテルでいよいよ……というときの動きなど、お互い浮気初体験ということもあって異様にぎこちない。だが、世間一般で行われている不倫てのは、こんな感じだろうと思う。ドラマのような、美しいラブシーンなんてのはしょせんフィクション。

女はマリッジリングに嫉妬する。男は逆に興奮する(?)。どこから撮ってもさまになる美形のフォトジェニック、小橋めぐみの初ヌードを堪能できる不倫ドラマ。女優だけなら100点をあげたいオススメ品だ。



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